2022年12月12日       

令和4年12月定例会 一般質問

1 女性施策の推進
(1)多様性のある社会の実現について
(2)女性デジタル人材の育成等に向けた総合的な対策について

2 子ども施策の取組について

3 G7広島サミットに向け高校生の活躍の場づくりについて

4 新病院構想における「こども病院」機能について

5 医療的ケア児への支援について
(1)医療的ケア児支援センターの設置について
(2)医療的ケア児の通学支援について

6 不登校支援について




【あいさつ】
 皆さん、こんにちは。
 公明党広島県議会議員団の日下美香でございます。
 私はこれまで、子どもや若者、女性、障がいを持った方、中でも社会で最も生きづらさを抱え、政治に声をあげにくい人の声こそ届けていきたい、少しでも状況が改善してほしい、との思いで活動してきました。
 がん患者へのウィッグの助成、小さく生まれた赤ちゃんの成長を記録するリトルベビーハンドブックの作成などは、現場の悩める女性からの声が届き、県の事業化につながりました。また、性被害ワンストップセンターや引きこもり相談センター、LGBTの方の相談窓口の設置や特別支援学校の職業コースの設置なども、多くの方の生きる希望につながっていることは本当に嬉しいことです。
 本日もそうした現場の声に寄り添いながら、一人も取り残されることなく幸せになってほしいとの願いを込めて、質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。




1 女性施策の推進
(1)多様性のある社会の実現について


【質問】
 まず初めに、多様性のある社会の実現について伺います。
 広島県に県政史上初の女性副知事の誕生は、知事の多様性を重視していく姿勢の表れだと思います。これからの社会は、多様性なしでは成り立たない時代になったと実感しています。
 政策や研究にジェンダーの視点を取り込むと、新たな方向性が見いだされるといわれています。例えば、日本の研究者に占める女性の割合は、先進国の中でも低く、2割を切っています。国際的には、女性研究者の1人あたりの平均論文数は男性よりも少ないにもかかわらず、日本では女性が男性より論文発表数が多いとの調査もあり、相当頑張らないと研究者になれないことが窺えます。女性はスーパーマンでなければならない、そんなメッセージにもなりかねません。女性のロールモデルも、男性のようにもっと多様であるべきです。リーダーに男性が多い分野は、「無意識のバイアス」をかけずに女性にそのチャンスを与え、伸び伸びと活躍して行ける工夫が必要です。この度のワールドカップ・カタール大会では、初めての女性審判員が選ばれ、テレビで冷静にさばいていく姿が印象的でした。
 本県もすべての審議会や知事が任命する委員などにおいても、男性ばかりになっていないか、同じ女性の人が複数の委員を兼任していないか等、そうした視点を持ちながら選んでいただきたいと思います。
 多様性の見える化やロールモデルの多様化は、いまから続く多くの女子学生にはとても希望になると思います。
 一方、女性が困難を抱える背景にある男女格差にも目を向けていかなくてはいけません。女性をめぐる貧困・性搾取・暴力被害は、長年見過ごされていた課題です。今度、売春防止法が66年ぶりに見直しとなり、今年5月に「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が成立し、女性の福祉の増進と人権擁護の視点が入り、施行は2024年4月となります。県は国の基本方針を受けて、基本計画を策定し、困難な問題を抱える女性への支援に一層力を入れていただくことを期待したいと思います。
 また、国立社会保障・人口問題研究所が行った調査によると、仕事と子育ての両立を理想とする人が、男女ともに最多となりました。社会の変化と共に、男性は仕事・女性は家庭といった意識が大きく変化しています。本県としても、仕事や家事・育児を男女で分かち合い、両立できる環境整備の推進に、より一層取り組んでいただきたいと思います。
 今月3日、女性の権利拡大やジェンダー平等を目指す国際女性会議が東京で開催されました。岸田首相は、席上、女性の視点を反映させた政策を推進すると表明し「あらゆる次元にジェンダーの視点を取り入れ、一人一人の活力を社会の成長につなげていく」と強調されました。
 また、女性を取り巻く環境について社会的格差が今なお課題であるとして、今回の議論の結果を来年5月のG7広島サミットに活かしたい考えも表明されました。その舞台となる広島県の知事として、女性が活躍できる多様性のある社会の実現に向けた思いをお聞かせください。

【知事答弁】
 本県では,性別に関わらず誰もが互いに人権を尊重しつつその個性と能力を十分に発揮し,あらゆる分野に共に参画することができる社会の実現を目指して,数次にわたり男女共同参画基本計画を改定し,職場における女性の活躍促進や,家庭における男女共同参画の推進の外,男女双方の意識改革などに取り組んできたところでございます。
 こうした取組により,本県の女性の就業率は着実に上昇し,男性の育児休業取得率は全国平均と比べ1.7倍となっており,また,指導的立場に占める女性の割合も全国の約12パーセントを大きく上回る約20パーセントとなっております。
 一方で,本県の指導的立場に占める女性の割合は県が掲げる令和7年度の目標25パーセントには達していない状況であり,家事や育児などに従事する時間も男女間では依然として大きな開きがあるほか,社会全体における男女の地位の平等感は,平等と感じている人が15パーセントに満たないなど,目指す社会の実現には一層の取組が必要であると考えております。
 このため,「わたしらしい生き方応援プランひろしま」に基づき,
・性別に関わらず誰もが安心して働き,活躍できる環境づくり,
・性別に関わらない自分らしい暮らし方の実現に向けた男女双方の意識改革の外,
・様々な困難を抱える人が,安心して暮らせる環境の整備
などに注力して取組を進めております。

 具体的には,まず,
・男女がともに働きやすい職場づくりや女性の管理職登用に向けた,取組過程や成果を見える化するモデル企業の創出,
・育児・介護休業法の改正を追い風に,男性育休取得の優良事例の収集・発信などに
取り組み,県内企業における働き方改革と女性活躍を推進しているところでございます。
 また,意識改革につきましては,エソール広島において若年層を対象としたゼミナール形式の課題解決型ワークショップ「わた生(い)きゼミ」や高校・大学への出前授業などを実施したところ
・ゼミ参加者が,職場やSNSで独自に情報発信を開始したり,
・学の講義の中で,性別に関する固定観念を解消するための提案が行われるなど,
様々な主体による自主的な活動が始まりつつあります。
 さらに,暴力や貧困など様々な困難を抱える方に対しましては,それぞれの課題を解決するため,加害者対応や被害者支援などを行っており,例えば,DV被害者やひとり親家庭に対しましては,就労支援,養育費の確保,子どもの自立に向けた支援など一人ひとりに寄り添ったきめ細かな相談対応を行っているところでございます。
 こうした取組は,県だけで成果を上げることは困難でございますが,国や市町,様々な活動を行う企業や団体と連携・協力して積み重ねていくことにより,県民の皆様誰もが,性別に関わらず「わたしらしく」活躍できる多様性と包摂性のある社会の実現を目指してまいります。




(2)女性デジタル人材の育成等に向けた総合的な対策について

【質問】
 次に、女性デジタル人材の育成等に向けた総合的な対策について伺います。
 広島県が県内の事業者を対象に実施したアンケートによると、デジタル技術の活用で課題解決を図るデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む事業者の割合が約3割にとどまることがわかりました。
 県は11月にDX加速プランを策定し、取り組む事業者の割合を2025年度に50%にする目標を掲げていますが、なかなか進まない理由の一つに、人材の確保があります。一方で、政府は非正規雇用が多い女性の就労支援策として、女性のデジタル人材の育成に力を入れています。
 なぜ女性のデジタル人材の育成が必要なのでしょうか。一つは、先ほど申し上げた人材不足への対応です。経済産業省は、社会のデジタル化に伴って「IT人材」が2030年には、最大で79万人不足すると試算しています。この課題の解決を目指し、男性に比べてデジタル人材が少ない女性に的を絞って取り組みを進める意義は大きいと思います。
 さらに重要なのは、女性の就労環境の改善です。長引くコロナ禍の中、失業などで困窮する女性の増加が問題になりました。これに対し、デジタル関連の仕事は感染症の影響を受けにくい上、育児や介護など家庭の事情でフルタイム勤務が難しい女性でも、空いた時間を活用しながら、テレワークでの就労が可能となります。
 就労に直結するデジタルスキルを身に付けた女性デジタル人材育成の加速化は、本来国において「女性デジタル人材育成プラン」の目標に掲げられ、特に女性を対象とした取組を積極的に実施とあります。
 デジタル人材として女性の就労をマッチングしていくことは、今後の女性の活躍推進にも、デジタル分野への人材供給にも大きく貢献していくことと思います。
 この課題は、多部局に関わる課題であり、連携もしていかなくては前に進みません。 県として、部局間で連携して、女性のデジタルスキル向上とデジタル分野への就労支援という両面の視点から、具体策を盛り込んだ総合的な対策を本県において積極的に進めていただきたいと思いますが、どのように考え、どのように取り組んでいかれるのか、玉井副知事にお伺いします。     

【副知事答弁】
 県内事業者等におけるデジタル人材の不足や,新型コロナの感染拡大による女性の雇用環境への影響を踏まえますと,離職を余儀なくされた女性や再就職を希望する子育て世代の女性に対する就業支援や新たな職種に挑戦するキャリアチェンジの支援などに取り組むことが重要であると認識しております。
 このため,
・基礎的なデジタルリテラシー獲得や専門的なデジタルスキル習得に向けた支援と
・デジタル分野への就労支援の両面の視点から,
女性のデジタル人材の育成に取り組んでおります。
 例えば,専門的なデジタルスキル習得に向けた取組として,離転職者を対象とした公共職業訓練において,アプリ開発などの技術を身につける技術革新対応コースを設置しており,来年度は,情報系訓練において,86名から156名へ定員数の増加を図ることとしております。
 また,デジタル分野への就労支援としては,女性の再就職相談窓口である「わーくわくママサポートコーナー」において,デジタル分野等への新たな職種に挑戦するキャリアチェンジの支援などに取り組んでいるところでございます。
 さらに,就労環境の整備として,テレワークなどのデジタル技術を活用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を促進しており,
・企業向けのセミナー
・企業の取組事例等の情報発信
・専門家派遣による伴走型の導入支援
に取り組んでいるところでございます。
 今後とも,デジタルスキル習得支援と就労支援・就労環境の改善を両面から進めることで,女性の活躍促進やデジタル人材の育成につなげてまいりたいと考えております。

【再質問】
 女性デジタル人材の育成について、先ほどご答弁いただきました。
 私が求めているのは、女性が極めて厳しい環境に置かれていることを県はよく認識して、女性に特化して取り組んでいただきたいとの思いで質問しています。
 例えば、女性総合センターエソールでは、女性の活躍促進に向け、様々な講座や研修を行っておりますが、新たに女性デジタル人材育成の講座を設けるなどされてみてはいかがでしょうか。そうした裾野を広げる具体的な取組が就労につながると思います。ぜひ、エソールとの連携も進めていただきたいと思いますが、環境県民局長の御所見をお伺いします。
 併せまして、多部局にまたがる課題ですので、受け皿となる課が明確でないことが一番の問題だと感じています。ぜひ、玉井副知事におかれましては、その要として、今後調整役を果たして頂きたい事を強く要望いたします。

【環境県民局長答弁】
 エソール広島の相談窓口には,コロナ禍において離職を余儀なくされた女性などから様々な悩みが寄せられており,相談員が一人一人に寄り添って丁寧に対応するとともに,寄せられた声を踏まえた研修や講座等を行っているところでございます。
 こうした中,今後,例えば,オンライン研修などを受講する場合に必要となるデジタルリテラシー習得に向けた取組などについて,その対応をエソール広島と協議してまいります。
 また,新たな職種に挑戦する女性を支援するためのデジタル人材の育成につきましては,ニーズなどを踏まえながら,必要に応じて関係局と連携してまいりたいと考えております。




2 子ども政策の取組について

【質問】
 次に、子ども政策の取組について、伺います。
 先月11月20日は「世界子どもの日」でした。1954年に子どもたちの相互理解と福祉の向上を目的に、国連で制定されました。さらに、1989年、国連総会で18歳未満の子どもを大人と同様に人権を持つ主体と位置付ける「子どもの権利条約」が採択され、日本も1994年に批准しました。
 しかし、日本は子どもの権利について定めた国内の法律を持たなかったため、国連から法整備を行うよう何度も勧告を受けてきました。条約批准から28年後の今年の6月になって、ようやく成立したのが「こども基本法」であり、「こども家庭庁設置法」であります。来年4月から正式に施行され本格的な運用が始まります。
 これまで、すべての子どもの幸せのためにとの思いで活動してきましたが、この法律は日本の子ども政策の大きな転換を意味すると思っています。
 近年、自殺や虐待、貧困、いじめ、不登校、ヤングケアラーなど、子どもを取り巻く環境が深刻になっています。今度設置が決まったこども家庭庁は、そうした子どもを取り巻く諸課題の解決のために、これまで複数の省庁にまたがっていた子ども政策を一元化させ、子どもに関する福祉行政を担う「子ども政策の司令塔」としての役割が期待されています。
 一方、子ども基本法は国が子ども政策を推進する上で基盤となる重要な法律です。
 国際条約である「子どもの権利条約」に定められた「生命、生存、発達の権利」「子どもの最善の利益」「子どもの意見の尊重」「差別の禁止」の四原則が基本法にも記され、今後の日本の子ども政策はこれらの原則のもとに実施されることが明確に位置付けられました。
 今後、この四原則を具体化していく中で、もっとも日本で遅れていると思うことは、「子どもの意見の尊重」です。子どもの声を社会に反映させる取り組みとして、現在、学校の校則の見直しがクローズアップされています。今後は、学校運営協議会などにも、子ども達の声を反映させる必要があると考えます。国際的にみても日本の子ども達は自己肯定感が低いと指摘されていますが、これは子ども達の意見が尊重され具体的な形として実現させる機会が極端に少ないことにも起因しているのではないでしょうか。
 県議会で開催される子供議会での子ども達の発想も、とても自由でユニークで示唆に富んでいます。そうした子ども達の声を一緒に広島県を良くしていく仲間として十分に受け止め、政策に反映していく仕組みが、今後はさらに求められると思います。

 様々申し上げましたが、この設置法だけではなく、基本法も同時に成立したことにより、こども家庭庁は「こどもの最善の利益を優先して考慮すること」を基本理念に掲げており、首相直属機関として文部科学省など各省庁に取り組みの改善を求める勧告権を持ちます。こうした国の動きに対して、本県の子ども政策をどのようにリードしようとされているのか、知事の御所見をお伺いします。

【知事答弁】
 令和5年4月に施行されるこども基本法では,次代を担う全ての子供たちが,心身の状況や置かれている環境等に関わらず,権利の擁護が図られ,将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指して,こども施策を総合的に推進するため,国において「こども大綱」を定めるとともに,各都道府県には,「こども大綱」を勘案した「こども計画」を策定することが求められております。

 本県におきましては,令和2年3月に,子供や子育てに関わる様々な施策について,県や市町をはじめ,関係機関等が果たすべき役割を盛り込んだ「ひろしま子供の未来応援プラン」を策定し,総力を挙げて取組を進めているところでございますが,国が来年秋に策定する「こども大綱」では,少子化対策や若者の育成支援など,より広範囲の施策が含まれる見込みのため,次期プランの策定におきましては,「こども大綱」を踏まえ,計画の対象範囲や必要な施策について,検討を行う必要があると考えております。

 また,国におきましては,こども家庭庁に他の省庁への勧告権を付与することで,施策を講ずる関係省庁の縦割りの壁を打破し,統合的,一体的に支援を提供していくこととされておりますが,本県におきましては,平成30年度に子供政策を一体的かつ総合的に推進するための部局横断的な組織として,「子供未来応援プロジェクト・チーム」を設置しております。

 今後も,子供政策の検討過程や, 施策の進捗点検・評価,課題共有等の場面で,このプロジェクト・チームを機動的に活用していくことにより,子供の年齢や所属等によって,支援の切れ目が生じることのないよう,きめ細かな施策展開を行ってまいります。

 また,「こども基本法」では,子供や子育て当事者の意見を子供政策に反映させるため,国や地方公共団体は必要な措置を講じることとされており,次期プランの検討過程におきましては,子供の意見を聴取し,施策に反映させる仕組みを講じる必要があると考えております。

 個々の施策の展開に当たりましても, 学校現場で,生徒会等が中心となって校則を見直していく取組や,子供議会における子供ならではの柔軟な発想に基づく提案など,積極的に子供の意見を取り入れ,子供の意見を尊重した行政運営ができるよう,努めてまいります。

 引き続き,県としてリーダーシップを発揮し,市町や関係機関,地域,学校,企業など,子供を取り巻く全ての関係者が,社会全体で子供たちを育んでいくという共通認識の下,子供たちの権利や意見を尊重しながら,子供の健やかな育ちや子育てを支えていく社会を実現し,明日の広島県を担う子供たちが,夢や希望を持って,未来を切り拓いていけるよう取り組んでまいります。




3 G7広島サミットに向けた高校生の活躍の場づくりについて

【質問】
 次に、G7広島サミットに向けた高校生の活躍の場づくりについて伺います。
 今年の文教委員会の県内調査で、いくつかの県立高等学校に行かせていただきました。最初にうかがった大竹高校は、地域から信頼され選ばれる学校を目指し、特に地域貢献活動に積極的に取り組んでおられました。また、1学年1学級規模の小規模校である佐伯高校では、少人数という特色を最大限に生かし、生徒一人一人の個性に応じた教育に取り組み、部活動ではアーチェリー部がインターハイ男子団体で3位入賞するなど、輝かしい成績を収めています。
 このほか、中学校や私立高校にも伺いましたが、どの学校も生徒がいきいきとしていること、また、図書室がとても素敵に生まれ変わっており、学びのセンターとして利用されていることは、大変うれしいことでありました。
 その中でもひときわ際立って印象に残ったのは県立宮島工業高等学校の生徒の取組でした。インテリア科の生徒が、地域貢献活動として、自分たちのモノづくりの技術を活かし、宮島の新たな土産品を開発する活動をしていました。昨年度導入された最先端の工業機器で作った組子細工を商標登録し「宮島組子(みやじまくみこ)」としてブランド化したいこと、さらには来年のG7広島サミットで、宮島組子のワークショップの場を提供して宮島を世界にもっと知ってもらいたいと夢を語ってくれました。
 私は高校生たちの真っすぐな情熱に心から感動しました。と同時に、せっかくのこのG7広島サミットの開催が、多くの高校生にとって世界に目を向ける機会となり、また地域をもっと好きになるきっかけになればと思いました。
 前回日本で開催された伊勢志摩サミットでも、来日した各国首脳の配偶者を対象とした配偶者プログラムを実施していますので、例えばこうした機会を活用して生徒が直接日本の伝統文化を紹介したり、神楽部や和太鼓部の生徒が、地域の伝統芸能を披露する場を設けたりするなどしてはいかがでしょうか。
 教育委員会として、このまたとないG7広島サミットの機会をどのように子ども達の教育に活かそうとしているのか、教育長に伺います。

【教育長答弁】
 来年5月に開催される広島サミットは,主要国の政治リーダーだけではなく,世界各地から政府関係者や報道機関が多数来広され,世界中の多くの人々が注目する国際会議であり,広島の高校生が,広く世界に目を向けるとともに,地元広島の魅力を再確認する貴重な機会であると考えております。
 行政や経済界など様々な分野の団体で構成される「広島サミット県民会議」に,県教育委員会も構成員として参画して取組を進めております。
 その一環として,歓迎機運の醸成のため,県内の工業高等学校の生徒が,習得した技術等を活用して地域の特産品や観光名所などをデザインしたカウントダウンボードを製作しており,広島の魅力を再確認するとともに地域への貢献意識を高めております。
 さらに,県内の公私立高等学校,特別支援学校13校の生徒が,広島サミット開催周知に係る路面電車1台とバス7台のラッピングデザイン制作に参画しており,広島の魅力の発信に取り組んでおります。
 県教育委員会といたしましては,来年の広島サミットの開催を機に,将来を担う高校生が幅広い国際感覚を身に付けるとともに,地域への愛着を深めることができるよう取り組んでまいります。




4 新病院構想における「こども病院」機能について


【質問】
 次に、新病院構想についてお伺いします。
 県は、広島市東区二葉の里地区へ新病院の建設を柱とする3つの病院の統合と,5つの病院からの一部機能の集約を先月発表されました。
 全国トップ水準の高度医療と人材育成を担う大規模な新病院の整備は、人口減や医師不足が課題となる中で、県が主導し高度医療を提供しつつ、中山間地域の医療も守るという取り組みで非常に期待しております。
 しかし、この8つの病院のうち5つの病院は市内中心部の中区にあり、地域の皆様にとっては長年安心の拠点となった病院ばかりです。統合を検討されている病院の地元の方々からは、地域に密着してきた病院が無くなるのではないかと不安の声も聞かれます。今後、住民の皆様をはじめ県民の皆様に安心を届けるために、丁寧な説明が求められます。
 これまで、県立広島病院では、「成育医療センター」を設置し、妊娠、出産、新生児、小児、思春期、成人に至るライフステージで、安心・安全な継続したチーム医療を提供してまいりました。
 また、小児救急を担ってきた舟入市民病院には24時間365日困ったときに受診することが出来る機能があり、小さな子供さんがいるご家庭にとって、まさに安心の要ともいうべき病院です。この病院では、重い障害のある子どものショートステイを受け入れ、家庭が一時的に介護から離れることのできる「レスパイト事業」を実施しており、多くの方に利用されています。
 新病院においても、こうした機能を継承し、さらに発展させていただきたいと思います。
 新病院構想が目指す「一次救急から三次救急まで、24時間 365 日体制で対応する小児ER機能」は、子ども病院の中核をなすものであると思います。子どもを持つ親として、新病院に行けば、子どもに関するあらゆることを診てもらえるという安心感につながるのではないでしょうか。
 今回の新病院構想の中に「こども病院」としての機能を明快に位置づけていただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いします。

 また、この質問の最後に要望ですが、小児期発症の慢性疾患の患者さんが、小児期診療科から成人診療科へスムーズに移行できるよう支援する「移行期医療支援センター」は全国に7カ所しか設置されておらず、中四国地方にはどこにもありません。新病院の機能の一つとして、ぜひ、新病院に中四国地方初の「移行期医療支援センター」を設置していただくようお願いします。

【知事答弁】
 「高度医療・人材育成拠点 基本構想」を策定する過程におきまして,今後,子どもの数が減少することによる広島都市圏の小児科病棟の稼働率の低下や,小児人口当たりの小児科医数が全国と比較して少ないといった現状を踏まえ,小児医療体制の効率化や,医療の高度化による医師を惹きつける魅力ある環境の整備が課題として議論されてきたところでございます。
 こうした課題を解決するため,新病院の基本構想におきましては,現在,県立広島病院が担っている生殖医療から周産期,新生児,小児を含めて一貫した医療を提供する成育医療センターとしての機能と共に,舟入市民病院や土谷総合病院の小児医療機能を再編・集約することにより,小児の一次救急から三次救急まで24時間体制で対応する中国地方初の小児ER機能を有した小児救命救急センターの設置を目指しております。
 加えて,子どものこころの問題に対応する児童思春期病床も新たに整備するなど,子どもに関する医療の更なる充実・強化に取り組むこととしております。
 県といたしましては,日常的な医療を担う地域の医療機関では対応できない子どもの疾患に対して,専門的な医療や救急医療を提供するいわゆる「こども病院」として,子どもの医療の中核となる病院に位置付けることとしております。
 引き続き,子育て家庭や次の世代の人々が安心して子育てができる医療提供体制の構築に向けて,全力で取り組んでまいります。




5 医療的ケア児への支援について
(1)医療的ケア児支援センターの設置について


【質問】
 つぎに、医療的ケア児の支援について2点お伺います。
 1点目は、医療的ケア児支援センターの設置についてです。
 痰の吸引や人工呼吸器などが日常的に必要な子どもとその家族を支援する「医療的ケア児支援法」が施行され、これまで自治体の「努力義務」であった、医療的ケア児が等しく適切な支援を受けられる環境整備が、「責務」となってから1年以上が経過しました。
 その環境整備の一つとして、都道府県に対して「医療的ケア児支援センターの設置」が求められています。

 医療的ケア児の多くは、自宅で生活し、痰の吸引などは主に保護者が行います。保護者は世話にかかりきりで孤立することも多く、相談したり、助言を受けたり、様々な制度の情報を入手したりすることが困難です。訪問診療や短期入所などの情報、子供の成長に伴う器具の買い替えや学校の選び方、また、医療的ケア児が大人になった時のことまで、ワンストップで相談できる体制を保護者の方は切に求めておられます。そのためには、何よりも医療的ケアへの専門性を有した人材の確保が大切です。

 我が会派からは、支援法の施行を受けて、令和3年9月に田川議員が、令和4年6月に石津議員がその取り組みを促してきたところです。家族からの相談支援に応じるセンター設置は、他県において次々と進み、未設置の県が残り数県となりました。いったい広島県はこの間何をどのように検討してきたのでしょうか。あまりにも遅い取り組みに、当事者の家族からは落胆の声さえ上がっています。
 県として、保護者の方の希望に沿った総合的な医療的ケア児の支援センターを一刻も早く開設していただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いします。




【知事答弁】
 医療的ケア児及びその家族の支援につきましては,個々の心身の状況に応じた適切な支援を受けられることが重要であることから,市町や地域の保健,医療,福祉,教育等の関係機関が連携し,一人一人に寄り添った支援を行う体制の構築が必要であると認識しております。
 県は,これまで医療的ケア児とその家族に関する実態調査及び有識者や家族会等からの意見聴取等を実施し,医療的ケア児支援センターについては
・どこに相談していいか分からないといった家族等からの相談を受け付け,内容に応じて市町や関係機関につなぎ,連携して対応する機能の外,
・支援を行う市町のサポート,
・情報の入手が困難である医療的ケア児やその家族に向けた積極的な情報発信,
・医療的ケア児の支援に携わる人材の育成
などの役割を担うことが必要と考え,具体的な機能や体制の検討を進めているところでございます。
 また,実態把握の結果から,身近な市町等における相談支援体制の充実や,医療機関退院後も切れ目のない適切な支援が受けられる体制の整備が必要であることから医療機関と居住する市町との情報共有や,市町や関係機関の間の連携に関する仕組みづくりなども進めてまいります。
 今後とも,医療的ケア児とその家族の負担や不安が軽減され,安心して生活できるよう,市町や関係機関と連携し,医療的ケア児支援センターの設置を含め,一人一人に寄り添った支援を行う体制の構築に向けて,着実に取り組んでまいります。




(2)医療的ケア児の通学支援について

【質問】
 2点目は、最も深刻だと感じている、通学についての支援です。
支援法には「家庭の負担を軽減し、ケア児の健やかな成長を図ることと共に、その家族の離職を防止すること」とあります。
 しかし、ケア児の中には、現行の特別支援学校のスクールバスへの乗車が困難とされ、保護者による送迎を余儀なくされている児童生徒がいます。
 このような状態だと、子どもの送迎に係る負担が大きく、家族が仕事をすることを諦めることになってしまいます。
 また、ある小学校低学年の保護者は、ひとり親家庭で生計維持のため、就労を優先せざるを得ず、子どもは週2日しか登校できず、子供が教育を受ける権利が保障されていない事例も聞いています。

 子どもが教育を受ける権利と保護者の就労は生活を営む上で不可欠であり、行政的支援が必要です。

 令和4年7月の文部科学省の「令和3年度学校における医療的ケアに関する実態調査」によりますと、本県の医療的ケア児は292人。その子供たちの通学手段は、幼稚園から高校生まで自家用車が58.7%と圧倒的に多くなっています。また、特別支援学校においては、スクールバスが半数近くを占めています。

 他県においては、滋賀県では県内の養護学校へ送迎する保護者の代わりに、県が委託したドライバーや看護師が同乗して通学支援をしており、一人当たり10回まで利用が可能になっています。また、神奈川県では、スクールバスや福祉車両に看護師が同乗することで、保護者の負担軽減となり、大変喜ばれています。

 本県においても、家族の付き添いなしで医療的ケア児が学校へ通えるよう、スクールバスに看護師を同乗させるなどの何らかの通学支援をしていくべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いします。

【教育長答弁】
 医療的ケア児の通学支援につきましては,県が令和4年1月から3月にかけて実施した調査結果からも,保護者の付添いによる負担の軽減が強く求められているものと認識しております。
 このため,保護者のニーズの高い通学時の負担軽減策について,安全性を十分に確保した方法の検討が必要であると考えております。
 具体的には,保護者に代わって安全に医療的ケアを実施する看護師の確保の在り方や医療的ケア児が通学するための車両の確保の在り方などの課題の整理が必要と考えております。
 県教育委員会といたしましては,引き続き,関係機関と連携して適切な支援策の検討を進めてまいります。




6 不登校支援について

【質問】
 次に、不登校対策について伺います。
 私はかねてより「教育と福祉」の連携は、子供を取り巻く環境の中で欠かせないものであると主張してきました。安心して学べる環境があれば、子供たちはどんどん新しいことを吸収し、自ら伸びていこうと成長していくと思います。

 教育長が就任当初より力を入れてこられたこととして、不登校の子ども達への支援がありました。ご自身が横浜の中学校で実践されていたスペシャルサポートルームは、現在県内33校まで拡大しました。私もそのうちの一つを訪問させていただきましたが、スペシャルサポートルームの明るく開放的な空間に、従来の私のイメージは大きく変わりました、
 東広島市に今年4月に開設した県教育支援センター、通称スクールSにも行かせていただき、自宅にいる子ども達が先生とオンラインを使ってクイズをしながらコミュニケーションを取ったり、子供が自らやりたいことを楽しそうにしている姿が印象的でした。どちらも明るい生徒の表情に希望を感じることが出来ました。このスクールSのオンラインでの取組は、他県からも視察が相次いでいると聞いています。
 教育委員会が力を入れて取り組んでこられたことは、私も実際にこの目で確認して、よくわかっておりますが、残念なことに、先日公表された「令和3年度の広島県における生徒指導上の諸課題の現状」に関する調査結果では、小中学校ともに大幅に増加しており、小学校では6年連続、中学校では8年連続の増加となっております。コロナ禍の長期化により休校や学級閉鎖が相次ぎ、感染拡大を防ぐため体調に変化があれば登校しないように促される日が続き、欠席することへの抵抗感が薄れたとの指摘もあります。
 一方、2017年施行の教育機会確保法により、いじめを受けるなどして学校に行きづらくなった生徒の「休養の必要性」や学校以外での学びの重要性が明記されことにより、「無理に登校させなくていい」との意識が教員や保護者に広がったことも要因の一つではないでしょうか。
 コロナ禍や法律により、必ずしも学校に通うことが全てでは無くなってきている風潮の中で、従来の不登校支援だけでいいのか。近い将来、不登校の有様さえ、様変わりしていくのではないかと思います。

 先日、文教委員会の県外調査で、ロボットで子ども達をサポートする取組を見せていただきました。人とのコミュニケーションが苦手な子ども達にとって、オンラインやロボットを使うことで、学びが広がるのなら、それも選択肢であると思います。

 近年は、学校以外の学びの場としてフリースクールに通う子ども達も増え、学校での出席扱いにする運用も広がりを見せています。
 本県も、このフリースクール等民間団体との連携体制の構築を今年度の取組に挙げておられますが、一番の課題は経済的支援だと思っています。
 フリースクールの中身を精査しながら経済的な支援も、今後検討していただきたいと思います。

 学校に行かなくなったきっかけは人それぞれですが、共通していることは、自分の中にある「こうするべき」という呪縛から解放された時に道が開けていったということです。
 不登校になっても違う選択があったからこそ、自分の才能や能力を生かせたと、とらえることが出来たなら、子ども達のその後の生き方は大きく変わってくると思います。

 子ども達の学びを支え、進学や就職の希望が叶うような環境づくりが最も重要です。

 教育長は常々、多様な学びの機会と学びの選択肢を創出し、すべての子ども達が成長できるよう果敢にチャレンジしていきたいと言っておられますが、今後の不登校支援への思いをお聞かせください。

【教育長答弁】
  本県におきましては,令和元年度からスペシャルサポートルームを設置した取組を進める推進校を支援するなど,不登校の未然防止と不登校等児童生徒の社会的自立に向けた支援の強化・充実を図ってきているところでございます。
 令和3年度の調査によりますと,スペシャルサポートルームを設置した取組を進める推進校21校のうち10校において,不登校児童生徒数が前年度以下となるとともに,県全体の増加率が30.0パーセントであるのに対し,推進校全体の増加率は13.9パーセントにとどまっているという結果も見られております。
 令和4年度からは,来室による利用に加え,オンラインで利用できる機能を備えた,「SCHOOL“S”」を開設し,不登校等児童生徒の居場所であるとともに,学び,成長できる場としての充実を図っているところであり,11月末現在,154名が登録,1日平均で約40名が利用している状況でございます。
 さらに,県内の全ての小中学校等から参加できるオンラインの学びプログラムやクラブ活動を,県内外を問わず,地域の資源などを活用して実施し,知的好奇心を喚起するとともに,社会とのつながりを促し,学び続ける力を育成する取組を進めているところでございます。
 具体的には,国立科学博物館による「骨」をテーマとしたプログラム,県内の民間企業と連携したオンライン工場見学や熊本市教育委員会と共同でオンライン修学旅行などを実施してまいりました。
 また,オンライン上で同じ興味・関心を持つ児童生徒が集って語り合う,イラストクラブや生き物クラブなどの活動を実施しております。
 今後も,引き続き,全ての児童生徒が学びを止めない,そして,人や社会とのつながりを断つことなく,将来,自立して生きていけるよう,市町教育委員会や学校としっかりと連携しながら取り組んでまいります。

【おわりに】
 おわりに、一言申し上げたいと思います。
 今年度の教育委員会の契約について、法律の専門家が官製談合にあたると指摘した事実は、極めて重く、大変残念であります。改革には、リーダーシップが必要なことは言うまでもありませんが、その過程においては、現場の人の声に耳を傾ける謙虚さも必要です。自由に皆が意見を言い合える組織風土を改めて構築し、公平性と透明性を確保して、風通しのいい教育委員会にしていかなければなりません。何より、教育長自身が襟を正して、今回のことに真摯に向き合っていただきたいと思います。
 また、本日の質問の最後に不登校を取り上げましたが、18歳が成年とみなされる社会環境の中では、教育現場での関りがますます重要になってくると思います。
 今後教育委員会で力を入れてほしいことを、3点申し上げ終わりにしたい思います。
 一つ目は、子ども達が政治に関心を持ち、選挙で自分たちの権利を行使できるように、主権者教育に力を入れていただきたいと思います。
 二つ目は、悪質商法による被害や多重債務など、子ども達が不当な借金を背負わせられることの無いように、契約や解約に関する消費者教育です。
 三つ目は、最も深刻だと感じている性教育です。コロナ禍で10代の望まない妊娠が増えています。秋田県では、産婦人科医と連携して、正しい知識の普及に努めています。
 いづれも専門家の外部講師と連携することが鍵になると思います。子ども達が生きていく上で大切なことを学び、自分の夢に向かって努力できる環境を提供していくことは、すべての大人の責任です。
 未来を担う子ども達が安心して大人になっていくための環境が整っていくことを心から願い、質問を終わらせていただきます。
 
 ご清聴、ありがとうございました。