2021年2月24日       

令和3年2月定例会 一般質問


1 多様な生き方を支援する取り組みについて
(1)「わたしらしい生き方応援プランひろしま」の考え方と実効性について
(2)パートナーシップ宣誓制度の導入について
(3)不妊治療と仕事の両立支援の推進について

2 教育環境の充実整備について
(1)特別支援教育の今後の展望について
(2)不登校対策について
(3)高等学校等奨学金特別会計を活用した更なる経済的支援の拡充について

3 障がい者支援の推進について
(1)障がい者雇用の推進について
(2)視覚障がい者の道路横断支援について

おわりに





【はじめに】
 皆様、おはようございます。
 公明党広島県議会議員団の日下美香でございます。
 一時期に比べるとかなり少なくなったとはいえ、新型コロナウイルスは未だ終息は見えない状況です。亡くなられた方には心よりお悔やみ申し上げますとともに、治療中の方には一日も早いご回復をお祈り申し上げます。昨年6月の一般質問でも申し上げましたが、元々社会の生きづらさを感じながら生きていた人たちは、長引くコロナ禍の中で更に息苦しさが加速をしています。
 多くの皆様からの声を代弁させていただく今回の機会に感謝をして質問をさせていただきます。当局の誠意ある答弁をお願いしたいと思います。




1 多様な生き方を支援する取り組みについて
(1)「わたしらしい生き方応援プランひろしま」の考え方と実効性について

【質問】
 質問の第1は、多様な生き方を支援する取り組みについて、3点お伺いします。
 まずは、「わたしらしい生き方応援プランひろしま」の考え方と実効性についてです。
 先月、海の向こうアメリカでは、新たな大統領が就任し、その新政権で初の女性副大統領が誕生しました。全ての小さな女の子たちは、自分たちに可能性があることを知り、大いに勇気づけられたと思います。「個人の資質は性別も年齢も超える」という考え方が多様性のとらえ方ですが、広島県においても、女性の校長先生の登用は30%を超え、全国一となりました。こうしたロールモデルとなるべき人が多く出てくることは、女の子たちのライフプランニングを考えるに当たり、自己肯定感につながってくると思いますし、影響は大きいと感じています。
 また、連日大きく報道されたこの度のオリンピック前組織委員長の女性蔑視発言により、交代を余儀なくされた一連の流れは、「多様性」が世界でどれほど重要視されているかが示された結果となり、ジェンダーの平等を皆で考えていく良いきっかけになったと思います。
 先日、多様性を確保できる差別のない社会にしていこう、と国連の中満事務次長など各界のリーダー42人が共同で、行動宣言を発表されました。その中の一人として、湯崎知事も名を連ねておられますが、その宣言の実践する5項目の中に「あらゆるバックグラウンドの人々が議論に参加し活躍しやすい環境づくりに協力する」とあり、大変心強く感じました。
 このように、確実に時代は変化していることを実感していますが、一方で、改めて、日本社会の問題の根深さが浮き彫りになったことは否めません。世界経済フォーラムの2020年版「ジェンダー・ギャップ指数」では、日本は153ヶ国中、121位となっており、世界から見ると日本は圧倒的なジェンダー後進国です。
 今年度、国において、第5次男女共同参画基本計画が策定されましたが、2003年に決定された「2020年までに指導層の女性を30%に」との目標は達成が叶わず、2020年代の可能な限り早期にと修正されました。また、今回の計画の策定過程の中で、選択的夫婦別姓が後退してしまったことは大変残念でした。60歳未満の7割が選択的夫婦別姓に理解を示す中、時代とともにアップデートが進まない価値観も、若い人たちが生きづらさを感じる要因の一つになっていると思います。
 2015年には女性活躍推進法も成立し、本県では、「女性の働きやすさ日本一」を掲げ、プロジェクトチームを立ち上げ、全国でもフロントランナーとして取り組みを進めてきました。しかし、それは、人口減少の労働力として期待されたものであり、女性の能力を最大限引き出そうとする意図はあまり感じられませんでした。今後はリカレント教育など、学びのステップアップを後押ししていくなどの取り組みも大切だと思います。
 さらに、待機児童の問題や育児の負担感、職場でのセクハラや役割の固定化、雇用の待遇など、女性活躍とは裏腹に、なかなか追いつかない現実にあきらめを感じる女性の声を多く聞きました。
 また、「女性活躍」というと、どうしてもキャリア志向の女性ばかりに注目が集まりますが、家事、育児に専念したいと望む女性もおられます。キャリアか専業主婦か女性を二分するようなことは無用な対立を作ってしまい、それは、本末転倒であり、女性自身が望む生き方を阻む要因を取り除いていくことが行政の役割です。
 私も11年間専業主婦でしたが、名もなき家事と終わりがない育児の毎日に孤独や不安を感じたこともありました。働いていないのだから、子どもの教育やお世話は自分の責任だ、と「良い母」として努めなければと、「男は仕事、女は家庭」といった性別役割分担に自分自身がとらわれていたと思います。
 今でも「アンコンシャス・バイアス」、無意識の偏見は、至るところにあります。皆さんは、転勤で引越をしてきた子どもの親を思う時に、いつの間にか父親を想像していませんか。おいしいお弁当を作ってくれると言った時には母親が頭に浮かびませんか。それがアンコンシャス・バイアスなのです。男性の産休取得に向けて国も動きはじめました。「産休です。」と言って男性がお休みを取る日も近いうちに来ると思います。
 私の子育てのモットーは、金子みすずさんの「みんなちがって、みんないい」です。人と比べない、という自分を戒める言葉として、肝に銘じてきましたが、まさに、今の時代こそ、女性も男性も「みんなちがって、みんないい」ということだと思います。
 さらに、日本には、異質平等論も根強くあります。男と女には違いがあり、その違いを踏まえた上で平等にすべきとの考え方です。しかし、この考えは国際社会では通用しません。最近は、LGBTなど性的マイノリティという言葉の認知も広がりましたが、本来人間の性(せい)にはゆらぎがあり、多様な形があります。男と女の二つに分けることで、男らしさ、女らしさという概念が生まれ、そこに合致しない人は苦しむことになります。混ざることで組織は強くなり、多様性は力であるというのが世界の当たり前です。私も長らく県の男女共同参画基本計画に5年ごとに関わっていますが、初めて「男女」という言葉がなくなりましたし、これは歓迎すべきことであると思います。
 そこで、この度の県の第5次男女共同参画基本計画の名称を「わたしらしい生き方応援プランひろしま」とした考え方とこの新たな計画を実効性のあるものとして進めていくことの知事の決意をお伺いいたします。
 また、先ほど述べた性別役割分担、アンコンシャス・バイアスや異質平等論における人々の意識の変革の課題に、今次計画ではどのように対応していこうとされているのかお伺いいたします。
 さらに、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、特に所得水準の低い母子家庭への影響が大きくなっているほか、DV被害や若年層の望まぬ妊娠の増加、女性の自殺の増加などの問題も大きくなってきています。
 こうした中、「わたしらしい生き方」を「応援」するために様々な困難を抱える方への支援をどう行っていかれるのか、併せてお伺いいたします。


【知事答弁】
 本県では、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別に関わりなく 、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現を目指し、平成15年に男女共同参画計画を策定し、4次にわたる改定を重ねながら、職場における女性の活躍促進や、家庭における男女共同参画の推進のほか、男女双方の意識改革などに取り組んできたところでございます。
 この結果、女性の就業率は着実に上昇し、男性の育休取得率も近年高まりつつありますが、指導的立場に占める女性の割合や、社会全体における男女の地位の平等感は伸び悩んでおり、家事・育児などに従事する時間も、男女間で依然として大きな開きがあるなど、目指す社会の実現には一層の取組が必要であると考えております。
 少子・高齢化や人口減少社会を背景とした家族構成の変化や、デジタル技術の進展による働き方や暮らし方の変革により今後ますます 私たちの生活が多様化する中、これまでのように、単に男性、女性といった性別によって区分して考えるだけでなく、一人ひとりの個性や能力、価値観を 尊重し、ライフステージの各段階で、性別に関わらず、仕事と暮らしの両方において、充実した生き方を選択できることこそが重要であるという観点から、新しい計画の名称を「わたしらしい生き方応援プランひろしま」としたところでございます。
 計画の実施に当たりましては、性別に伴う様々な課題の根本原因の一つである、長年にわたり人々の中に形成された「男は、あるいは、女はこうあるべき」といった性差に関する固定観念や無意識の思い込みであるアンコンシャス・バイアスの解消が不可欠であると考えております。
 このため、高校生を対象とした、自分の目指すライフスタイルの実現に向けたキャリア教育の充実強化のほか、新たに、性別の異なる職場の同僚や夫婦で参加する「気づき」を促すワークショップの開催や、事例に挙げられた、「転勤する母親」 や「おいしい弁当を作ってくれる父親」のように、従来の性別に対するイメージとは異なる多様なライフスタイルの情報発信による無意識の思い込みの解消など、創意工夫した取組を進めてまいります。
 またDV被害者やひとり親家庭など、様々な困難を抱える方々に対しましては、それぞれの課題を解決するため、就労、養育費の確保、子供の自立に向けた支援などのほか、一人ひとりに寄り添ったきめ細かな相談対応を行うことで、自分らしく生きる前提となる安心な暮らしの実現をサポートしてまいります。
 新たな計画におきましては、国や市町のほか、様々な活動を行う企業・団体等とも連携・協力し、関係計画とも連動させながらそれぞれの取組を効果的に実施していくことにより、県民の皆様誰もが、性別に関わらず多様な選択をすることができ、「わたしらしく」生きることができる社会の実現を目指してまいります。




(2)パートナーシップ宣誓制度の導入について

【質問】
 次は、パートナーシップ宣誓制度の導入についてお伺いします。
 本年1月4日、LGBTなど性的マイノリティのカップルを公認する「パートナーシップ宣誓制度」の運用を広島市が始めました。制度導入した自治体は本県で初めてとなりますが、今後導入を検討している中国地方の自治体は、4分の1にあたる28自治体に広がっており、本県においてもすでに11市町が導入を検討しております。
 性的マイノリティの方は約20人に1人と言われていますが、潜在的にはもっと多いと思われます。性や家族の多様な在り方を受け止めようとする流れが広がりつつあることは、地域共生社会を目指す上で大変心強く感じます。
 この制度は、カップルに対し自治体が証明書などを発行するもので、婚姻のような法的効力はありませんが、公営住宅の入居をはじめ、自宅が火災にあったりパートナーが救急車で運ばれたりした際に本人や世帯主の委任状がなくても罹災証明書や搬送証明書を申請できます。これらは当事者の皆さんにとっては大きな希望になると思います。
 2017年10月にエソール内にLGBT電話相談窓口を開設され、相談者は20代、30代の若者が多くを占めており、そのニーズの高さがうかがえます。自分自身の性の違和感から不安や孤立感を抱えながら生活している当事者は少なくなく、将来への展望が見出しにくいとの声を伺います。こうした声に対し、自治体として、より柔軟に対応し、若い人が希望を持って暮らしていけるよう努力すべきです。しかし、先の制度の効力は、その自治体に住む人が対象となるため、転勤など他の市へ移動した場合はそのサービスは受けられなくなります。特に、広島県と広島市が申請窓口を一つにしている公営住宅の申込みについては、現場で混乱を招くことのないよう、少なくとも、制度導入前でも公営住宅の入居を認めている神奈川県などと同様に、速やかに体制を整えていただきたいと思います。
 都道府県では現在、茨城県、大阪府、群馬県の3府県が導入しています。広島県においても多様性を尊重する社会の実現に向けて、このパートナーシップ宣誓制度の導入を検討していただき、性的マイノリティの方も自分らしく暮らせるような環境づくりを推進していただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。


【知事答弁】
 本県では、「安心▹誇り▹挑戦ひろしまビジョン 」において「多様性を認め合い、支え合いながら自分らしく活躍でき、安心と活気あふれる共生のまちづくり」を進めることとしており、性的指向や性自認といった性の多様性についても、県民の皆様の理解が深まり、互いに人権を尊重し合う意識が醸成されることで、誰もが安心して生活できることが基本であると認識しております。
 このため、これまで、行政や企業の人権担当者向けの研修をはじめ、あらゆる機会を通じた啓発を実施するとともに、平成29年には、エソール広島に専用の相談窓口を設置し、性的指向や性自認で悩んでいる方々などの相談に対応してきたところでございます。
 いわゆる「パートナーシップ制度」につきましては、性的少数者の方々が様々な場面で感じる不便や偏見、差別的な扱いをできる限り解消する一つの方策として、全国で、約70の市区町村と3府県で導入されておりますが、その制度の内容につきましては、パートナーシップ成立の条件や受けられるサービス、情報管理の方法など、自治体ごとに様々でございます。
 導入済の3府県では、これまでに、あわせて約100組が宣誓を行った一方、家族や婚姻の在り方に対する様々な御意見を背景として、基礎自治体の考え方が異なることにより、住む地域によって、受けられるサービスに差が生じているとも伺っております。
 こうした状況を見ますと、県がパートナーシップ制度を導入する場合には、県民の皆様の御理解が重要であり、身近なサービスを提供する市町との連携も不可欠と考えられることから、まずは、性の多様性に対する正しい知識の一層の普及に努めますとともに、導入自治体の運用の状況や課題について十分に把握する必要があると考えており、併せて、広島市の制度により宣誓した方々へのサービスの取扱いを検討してまいりたいと考えております。
 また、性的少数者の方々の日常生活上の困難や不便さの解消に向けて、窓口に寄せられた相談内容を分析し、その結果を基に関係機関や民間の支援団体の皆様と意見交換する場を設けるなど、性的少数者の方々への支援を充実させていく仕組みづくりを進め、性的指向・性自認に関わらず、誰もが安心して暮らせる環境の実現を目指してまいります。


(3)不妊治療と仕事の両立支援の推進について

【質問】
 続いて、不妊治療と仕事の両立支援の推進についてお伺いします。
 政府は昨年末、全世代型社会保障改革の最終報告で、2022年4月から、不妊治療に公的医療保険を適用する方針を明記し、保険適用までの間は現行の助成制度を大幅に拡充する方針を示しました。「妻の年齢が43歳未満」は維持されるものの、保険適用までの間は、一回の助成額が15万円から30万円になり、生涯で通算6回までから、子ども一人あたり6回までに拡充されました。さらに、所得制限は撤廃され、事実婚も対象になり、不妊で悩むご夫婦にとっては、大きな喜びとなっています。2000年4月、公明党の女性委員会が署名運動を実施し、当時の厚生大臣に55万人の署名を届けました。20年以上の時間がかかりましたが、ようやく不妊治療への保険適用が実施されることに感慨深いものがあります。 
 このたび、順天堂大学の研究チームにより、不妊治療を始めた女性の約6人に1人となる16.7%の人が離職していることがわかりました。また、離職リスクは、非正規社員は正社員に比べて2.65倍高いこと、サポートがない職場は、ある職場に比べて1.91倍高いこともわかりました。不妊治療と仕事の両立の難しさは、排卵日などに合わせて休まなければならないこともあり、社内での理解を深め休みがとりやすい制度設計づくりや、フレックスタイム制度などの働き方改革が重要になってきます。せっかく不妊治療が保険適用になり経済面の負担が軽減されたとしても、職場の中で休みが取りにくい環境では、なかなか状況は改善されません。その治療により、職場をやめなくてはいけない女性が増えてしまうことは大変残念なことです。本県では、仕事と家庭の両立支援企業登録制度の登録企業の県内約1500社の企業に対して冊子を配り、啓発をしていますが、それで果たして十分といえるでしょうか。政治が不妊治療に公的医療保険適用に大きくかじを切っていこうとする中、今までの延長線の啓発だけではなく、思い切った働き方改革を後押しする取り組みが必要です。
 そこで、不妊治療も仕事もどちらも両立していけるよう、不妊治療に対して柔軟に対応する会社へのインセンティブをつけるなど、その普及啓発も含め、安心して不妊治療ができる環境づくりを推進していただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。


【知事答弁】
 晩婚化や出産年齢の高年齢化等を背景に、不妊治療を受ける夫婦は増加しており、不妊検査や治療を受けたことがある夫婦は、5.5組に1組の割合となり、また、全出生児の約16人に1人が、生殖補助医療によって誕生しております。
 こうした中、本県におきましては、子供を持ちたいと願う夫婦の希望を叶えるため、国の特定不妊治療助成事業に加えて、平成27年度から、県独自の不妊検査・一般不妊治療助成を開始し、不妊治療を支援しているところでございます。
 また、本県が令和元年度に実施した不妊検査等助成者へのアンケート調査では、386人の方が、治療開始時点で就労していましたが、そのうち88パーセントの方の職場で、不妊治療のための休暇制度等はなく、半数以上の方が、不妊治療と仕事の両立に苦慮されており、約6人に1人にあたる16パーセントもの方が、治療のために退職されたといった実態がございます。
 こうした実態を踏まえ、本県では、不妊治療と仕事を両立できる環境づくりが重要と考え、令和元年度から、企業の経営者や人事労務担当者向けのリーフレットを作成して、職場の理解を促し、不妊治療と仕事が両立できるよう普及啓発を進めているところでございます。
 また、国においては、不妊治療と仕事を両立しやすい職場環境の整備を推進するため、令和3年度から、
・ 不妊治療のために利用できる特別休暇や、
・ 時差出勤、フレックスタイム制等の柔軟な働き方をしやすい職場環境の整備など、
仕事と不妊治療の両立に資する制度を導入する中小企業事業主などに対して、助成制度を創設することとされております。
 今後は、国の動きを注視しつつ、県内企業がこうした助成制度を活用できるよう、関係者と協力して制度の周知を行うとともに、不妊治療をしながら働き続けられる職場づくりが、社員の安心感やモチベーションの向上、離職防止など、企業の人材確保につながるメリットがあると認識していただけるよう、不妊治療と仕事の両立支援の推進に、引き続き取り組んでまいります。
 こうした取組により、雇用主や職場の上司・同僚の理解のもと、子供を持ちたいという方が安心して働きながら不妊治療を受けるとともに、妊娠・出産・子育ての希望を叶えることのできる社会を実現してまいります。




2 教育環境の充実整備について
(1)特別支援教育の今後の展望について


【質問】
 質問の第2は、教育環境の充実整備について3点お伺いします。
 まずは、特別支援教育の今後の展望についてです。
 特別支援教育とは、障がいのある子どもの能力を最大限伸ばし、自立や社会参加をめざす教育を言いますが、実施される場所として特別支援学級と特別支援学校があります。
 私は、以前より本県に高等特別支援学校を作り、障がいの軽い子どもたちが社会に出た時に自立していける道筋をつけるべきだと主張してまいりました。その後、既存の学校に職業コースを設け、県独自の認定資格制度を作るなど、その趣旨に沿った取り組みは拡充してこられ、一桁台であった就職率は飛躍的に伸び、40%台までになりました。私もその間、いくつも視察に行かせていただきましたが、どこも熱心な先生方の指導のもと、子どもたちの生き生きとした姿が印象的でした。
 平成21年からこの約10年の間で、在籍する児童生徒の数は、特別支援学校では1.5倍、特別支援学級では2倍となり、義務教育段階の全児童生徒が減少している中で、増加傾向にあります。これは特別支援教育を受けることで子どもの成長過程に有意であると認知された結果でもあると思います。特に、特別支援学校に在籍する生徒の伸び率は全国平均よりも高い状況にありますが、はたして県内のニーズに本県の学習環境が追いついているのか、気になります。
 一つ目は、教室不足についてです。
 この度、県教育委員会では廿日市特別支援学校の教室不足を解消するため、廿日市西高等学校の学校施設を活用し、整備を図ることとしております。以前、視察に行かせていただいた時には敷地がないので運動場に新校舎を建てた時でした。とても手狭で窮屈なイメージがありました。どこも既存の学校施設を教室に利用したり、校内増築をしたりしてきましたが、今回は初めて県有施設の活用に至りました。廃校が相次ぐ中、特別支援学校だけはこのような状況です。私は、県民のニーズがあるのであれば、このように余裕のある高等学校や廃校になる学校を積極的に活用していくべきだと思いますし、新校舎を増築することも含め、環境整備をしていくべきと思います。
 県立西高等学校が、本年3月末で閉校となりますが、この立地は中区の中心地であり、交通の便もよく、更に校舎もまだ使えることもあり、特別支援教育を望む児童生徒のために使用していってはどうかと考えますが、教育長は、この跡地の扱いについては、今後どのように利活用しようと考えているのでしょうか。
 また、二つ目は、教員の専門性の向上です。小中学校における特別支援学級数の急増や担任交代が早いことなどにより、免許状の保有率が伸び悩んでおり、本県では、認定講習を実施し、免許状の取得を促進しています。それを個人の課題とするのではなく、学校全体のマネジメントも必要ですし、免許を取るための補助金を支給するなど、多忙な先生方が講習を受講しやすくするための様々な工夫が必要ではないでしょうか。
 障がいのある子とない子が共に学ぶという在り方は、「インクルーシブ教育」として推奨されています。私はインクルーシブ教育と特別支援教育のどちらも大切だと思います。難しい課題ですが、「みんなちがって、みんないい」と、全ての子どもたちの成長につながる環境の整備を是非お願いしたいと思います。
 そこで、先ほど申し述べた教室不足及び教員の専門性の向上について、どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。


【教育長答弁】
 近年、特別支援教育への理解が進むとともに障害の早期発見や切れ目ない支援の取組により、特別な支援を必要とする児童生徒が増加しております。
 とりわけ、知的障害特別支援学校在籍者の増加は著しく、教室不足は喫緊の課題と認識しております。
県教育委員会では、こうした教室不足の解消を図るため、特別支援学校内での対応が困難な場合には、県有施設等の活用も含め整備するという方針に基づき、県立特別支援学校の教育環境整備を進めることとしております。
 なお、西高等学校跡地につきましては、Society5.0時代やデジタルトランスフォーメーションの進展などを見据えつつ、本県が進める「学びの変革」に資するよう幅広い観点に立ち、活用方策を検討していきたいと考えております。
 また、免許法認定講習につきましては、教員が受講しやすい環境とするため、受講者から受講料の負担を求めることなく、夏季休業中に講習を実施するとともに、小・中学校の特別支援学級担任及び通級による指導に携わる教員を対象とした講義内容を新たに用意し、特別支援教育の専門性を高めることができるよう、小・中学校等の特別支援教育の充実を図る取組を行っているところでございます。
 これらの取組を含め、「広島県特別支援教育ビジョン」に記載されている取組を着実に実施していくことを通じて、障害のある子供も障害のない子供も同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、障害のある児童生徒に連続性のある「多様な学びの場」を整備するなど、本県の特別支援教育の充実・発展を図ってまいりたいと考えております。




(2)不登校対策について

【質問】
 続いて、不登校対策についてお伺いします。
 不登校は、古くて新しい課題です。学校に行きたくてもいけない子どもと保護者にとっては、いつの時代でも大きな問題です。かつては、私の時代には学校を休むことは高熱が出た時以外は許されず、たとえ熱が出たとしてもとりあえず行って学校の壁にタッチして帰ってもいいからとにかく行ってこい、と言われていました。
 しかし、今は何が何でも無理やりに学校に行かなくてはいけないという風潮は変わってきたと思います。行きたくても行くことがかなわない子どもたちを取り巻く様々な理由や事情に大人たちも注目をするようになりました。
 不登校の理由には、家庭の問題、学校での人間関係を言われることが多くありますが、その中には、親の介護をしなくてはいけないヤングケアラーという問題があること、制服や髪形などの性別ルールに違和感を感じて登校できなくなる子どもがいることも知らなくてはいけません。制服の選択の自由は、早急に進めていただきたいと思います。
 年々、スクールソーシャルワーカーも増え、教育と福祉の連携も少しずつ進みつつあると思いますし、私は子どもの視点に寄り添うという意味では、もっとできることはあると思っています。本県では、学級に居づらさを感じている児童生徒や、不登校及びその傾向にある子どもたちが、個々のペースに応じて学習に取り組むことができる教室をスペシャルサポートルームとして設置し、学級に入れない子どもの居場所づくりに力を入れておられます。
 そのスペシャルサポートルームが設置されている小学校に、以前視察に行かせていただいたことがあります。その部屋は従来の教室とは違い、明るくとても感じのいいものでした。子どもたちが様々なトラブルを抱え学級に入れなくなった時に、少し心を休められるこうした教室が各学校にあれば、子どもたちの安心につながるのではないかと思いました。
 このように不登校対策については、教育委員会としても力を入れておられますが、全国的な傾向と同様に、本県においても2019年度の小・中・高等学校の不登校児童生徒数の合計が前年比12%増となるなど、一向に減る兆しはありません。このため、今後、不登校対策の取組を全県に展開をして、各学校へのサポート体制を強化していくべきと思います。
 また、学校に行けなくなり、フリースクールを選ぶ子どももいます。高校教育無償化の流れの中で、私が訪ねたフリースクールでは月3万円程度かかるとのことでした。「就学支援金」により授業料が減免されますが、まだ家計への負担は大きいものがあります。
 さらに、学校に行けない子がオンライン授業でなら前に進むことができる場合もあります。全ての子どもたちが安心して学べる環境については、様々な選択肢があっていいと思います。
 そこで、個別最適な学びの環境について、あらゆる支援が必要である中、不登校対策の取組をどのように進められていくのか、お伺いします。


【教育長答弁】
 不登校児童生徒への支援につきましては、学校に登校するという結果のみを目標とするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指せるよう、個々の状況に応じて、様々な関係機関と連携した取組が必要であると考えております。
 本県では、こうした考え方を具体化し、個別最適な学びを推進するため、学校外での学びの場を提供し、社会とのつながりを促す「東大ROCKET IN 広島」の実施や、学校内におけるスペシャルサポートルームの設置など、多様で質の高い学びの実現に向けた取組を行っているところでございます。
 スペシャルサポートルームを設置した学校におきましては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携して、児童生徒一人一人の状況に応じた効果的な支援を行うことで、学校がより安心できる居場所に変わるとともに、市町の福祉部局など関係機関との協働的な支援についても、学校全体としての取組が進んでいるところでございます。
 県教育委員会といたしましては、スペシャルサポートルームにおける実践から得た具体的な支援方法や好事例を、様々な研修やホームページでの発信などを通じて、市町教育委員会及び学校に広めていき、今後、デジタル技術の効果的な活用も含め、全ての子供たちが安心して学べる環境の構築に向けて、取り組んでまいります。




(3)高等学校等奨学金特別会計を活用した更なる経済的支援の拡充について

【質問】
 次は、高等学校等奨学金特別会計を活用した更なる経済的支援の拡充についてです。
 「学びのセーフティネット構築事業」の経済的支援の拡充として、ICT機器の購入に係る給付金制度を予算計上しておられます。
 これは経済的に困難な家庭の生徒に対して、生徒一人一台のPC端末の購入費用等の給付を実施するものですが、対象は非課税世帯のみです。家庭の経済状況が新型コロナウイルス感染症の影響から回復するのに3~4年かかると言われている中にあっては、困窮する家庭は非課税世帯以外でも多くあります。子どもの教育に必要なものだからと、どの家庭も大変な中で最優先して捻出していこうとされると思いますが、このコロナで経済の打撃も大きく家庭の収入も激減し、飲食業のアルバイトなどで頑張ってきた高校生も時短要請などで収入が絶たれる中での学びの環境は過酷です。
 そこで、子どもたちが安心して学ぶことのできる環境整備のため、せめて経済が回復するこの数年間は支援の拡充をしていくべきではないかと思いますが、教育長のご所見をお伺いします。


【教育長答弁】
 生徒一人1台のコンピュータの導入に当たりましては、経済的に困難な状況にある生徒に支援を行うことが重要であると認識しており、非課税世帯を対象に、今年度から、パソコン等の購入費用を支援する給付制度を設けたところでございます。
 一方、この制度の対象とならない世帯におきましても、パソコン等の購入が困難な世帯があると考えており、こうした世帯に対しましては、高等学校入学前に最大15万円を借りることのできる「入学準備金制度」により支援を行っております。
 今年度は更に、新型コロナウイルス感染症の影響により家計急変した世帯を支援するため、毎月貸与する奨学金を一括して貸し付けすることも可能とする緊急募集を行うとともに、授業料以外の教育費を支援する「奨学給付金」においては、年度中途に非課税相当となった世帯へも給付を行うなど、制度の拡充を図っております。
 今後とも、経済的に困難な状況にある生徒を取り残すことがないよう、こうした施策を推進してまいります。




3 障がい者支援の推進について
(1)障がい者雇用の推進について


【質問】
 質問の第3は、障がい者支援の推進について2点お伺いします。
 まずは、障がい者雇用の推進についてです。
 昨年6月時点で、障がい者の法定雇用率を満たす企業の割合は、中国地方では54.8%、広島県では49.0%でした。いずれの数字も、前年から上昇しているものの、広島県内では未達成の企業のうち一人も障がい者を雇用していない企業が約6割もあるなど、障害者雇用促進法の趣旨に対する理解が十分に浸透しているとは言えない状況にあります。特に、小規模な事業者が、雇い方や接し方が分からず雇用が進んでいないというケースが多く見られるようです。
 障がい者雇用を進めることは、法的義務を果たすという消極的なものではなく、企業価値の向上や多様性のある組織作りなど、多くのメリットをもたらすものでもあります。また、雇用全体の方針を見直すきっかけにもなり、業務の効率化や生産性の向上に繋がるなど、様々な効果をもたらすものです。こうしたことへの理解を企業に浸透させるとともに、ノウハウを提供していくことが必要ではないでしょうか。
 先ほど特別支援教育の生徒の就職率が40%と申し上げましたが、受け皿となる企業の理解が進まなければ、学校側がいくら熱心に社会で自立できるように生徒を指導したとしてもなかなか厳しいものがあります。
 3月から、法定雇用率は、これまでの2.2%から2.3%に引き上げられ、対象となる企業も広がります。新型コロナウイルスの影響で、社会全体の求人が減る状況においては、障がい者雇用を進めていくには、これまで以上に行政の支援が必要となります。
 そこで、障がい者雇用率の向上のための取組をどのように進めていくのか、知事にお伺いします。


【知事答弁】
 障害者雇用の推進に向けましては、これまで、企業における障害者雇用への理解の促進や雇用の場の拡大を図るため、
・ 障害者雇用企業等見学会の開催や、
・ 障害者雇用優良企業に対する表彰、
・ 啓発冊子の作成・配布、
・ 職業訓練等による能力開発の促進や、
・ 合同就職面接会の開催
などに取り組んでまいりました。
 こうした取組により、本県における民間企業の障害者雇用率は、直近で2.25パーセントと法定雇用率を上回り、過去最高を更新しているものの、法定雇用率を達成している企業の割合は、全体の半数以下に留まっていることから、障害者雇用に取り組む企業の更なる拡大が課題となっているものと認識しております。
 また、新型コロナウイルス感染症により雇用情勢が悪化する中、その長期化により、障害者雇用への影響も懸念されるところでございます。
 障害者雇用が企業において進まない要因としましては、県内企業の職場環境実態調査によると、障害者雇用を進める上での課題といたしまして
・ 「障害者に適した業務がない」と回答した事業者が66.3パーセントと最も高く、 次いで、
・ 「障害特性について自らの理解が不足しており雇用が不安」などとなっていることから、
雇用にあたっての障害特性に対する理解やノウハウの不足があるものと考えております。
 一方で、障害者を雇用している企業からは、
・ 業務に障害者の視点を生かすことができた、
・ 職場の従業員に思いやりの気持ちが生まれた、
・ 社会的評価が高まった
など、障害者雇用を通じた効果についての声も挙がっており、実際の雇用現場を知る機会の提供は、ノウハウの習得だけでなく、企業価値向上などのメリットを理解するうえで、効果があるものと考えております。
 このため、今後は、更なる障害者雇用率の向上に向け、見学会への参加企業数を拡大するなど、障害者雇用企業等の現場や先進事例を知る機会を充実させるとともに、優良事例の見える化などにより、障害者雇用企業の拡大促進に取り組んでまいります。

 加えて、働き方改革の更なる推進に取り組むことで、人材の多様性を企業活動に生かしていく県内企業の増加を図り、障害等の有無にかかわらず、意欲をもって仕事にチャレンジできる環境の整備を進めてまいります。




(2)視覚障がい者の道路横断支援について

【質問】
 質問の最後は、視覚障がい者の道路横断支援についてです。
 寿命が延びる中、加齢により目の病気を患う方が増えているのに比例して、視覚障がい者の人数は増加しています。先天的に障がいのある人に比べ、疾患により途中から視力を失った人は生活に大きな支障を感じ支援を必要としているのが現状で、特に道路横断の際の安全確保については、不安の多くの声を多くいただいております。
 これまで、視覚障がい者の道路横断支援として、音響式信号機や横断歩道上の点字ブロックのエスコートゾーンなどが整備されてきました。しかし、音響式は、近隣住民への配慮で早朝、夜間は音が鳴らない設定の信号もあります。兵庫県では、2021年度以降、スマホの音声で信号の色を伝える通信装置を信号機に設置する予定にしています。これは、専用アプリをスマホにダウンロードし、通信装置がある信号機に近づくと信号の色や交差点名などの情報がスマホに伝わり、音声と共に振動も起きる仕組みです。このシステムは時間帯を問わず使えることから、安心して横断できるツールとして期待されています。デジタルを使ったこうしたサポートにより、安心を感じる人も多くおられると思います。
 そこで、本県でもこうしたツールを使い、視覚障がい者の方の道路横断支援として取り組みを進めてはどうかと思いますが、警察本部長のご所見をお伺いいたします。


【警察本部長答弁】
 県警察におきましては、視覚障害者の皆様が安全に道路を横断できるよう、病院、社会福祉施設など利用頻度が高い施設の周辺に音響式信号機の整備を進めており、本年1月末現在、県内に346基を整備しております。一方、音響式信号機の運用につきましては、視覚障害者の皆様の要望を踏まえるとともに、設置場所周辺の環境や周辺住民の皆様に配慮する必要もあるため、夜間や早朝の運用につきましては、慎重に判断をせざるを得ないこともございます。
 こうした課題に対応するため、先ほどご提案のありましたようなスマートフォンを活用した横断支援に係る装置の導入に向けた検討を進めてきたところであり、昨年7月に開催した体験会におきまして、参加された視覚障害者の皆様から一定の評価が得られたことなどを踏まえ、実際の運用を通じて効果を確認するため、令和3年度当初予算案に1基の整備費用を計上しているものでございます。

 県警察といたしましては、引き続き、道路交通環境の整備を通じて、視覚障害者の皆様の安全確保に努めてまいります。




【おわりに】
 最後に一言申し上げます。
 世の中には異質なものに対して様々な目に見えない心のバリアがあります。私たちの意識を変えていくのは時間がかかりますが、確実に時代は変化をしています。
 価値観のアップデートをしながら、行政としてもスピード感をもって、しなやかな発想で、そして、多様性のトップランナーとして全ての人にとって住みやすい、生きやすい広島県になっていくことを願いながら、質問を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。