2020年6月25日       

令和2年6月定例会 一般質問


1 コロナ禍での安心な環境づくりについて
(1)PCR検査体制の在り方について
(2)県有施設へのサーモグラフィーの設置について

2 命を守る取り組みについて
(1)児童虐待への取り組みについて
(2)配慮が必要な子どもたちの育ちへの認識について
(3)次期DV基本計画の策定について
(4)若年層へのデートDVの啓発促進について

3 女性の健康支援について
(1)子宮頸がんワクチンの情報提供と受診率向上について
(2)アピアランスケアへの助成について

4 成年後見制度の推進について

5 情報・コミュニケーション条例の制定について

6 被服支廠の保存の進め方について(要望)




【はじめに】
 皆様おはようございます。
 公明党広島県議会議員団の日下美香でございます。
 新型コロナウイルスで亡くなられた方に心よりお悔やみを申し上げますとともに、懸命に対応に当たっていただいた医療従事者の皆様をはじめ、感染リスクのある中、日常生活を支えてくださったエッセンシャルワーカーの皆様に心から感謝を申し上げます。
全国的に緊急事態宣言が解除され、県内の感染者もゼロとなり、長らく続いた「自粛」に一つの区切りがつきました。
 そのような中、全ての人が困難を強いられる中にあっては、もともと経済基盤が脆弱であったり、コロナ禍以前より困難な状況にあった方々というのは忘れられがちになります。
今回のコロナ禍は、こうした一番弱い立場にある人たちを直撃しています。
 今、目を向けるべきは、こうした方々へのまなざしではないでしょうか。
そうした視点を持ちながら、質問をしていきたいと思いますので、知事をはじめ執行部の皆様の明快で誠実な御答弁を期待して、早速質問に入ります。




1 コロナ禍での安心な環境づくりについて
(1)PCR検査体制の在り方について


【質問】
 質問の第1は、コロナ禍での安心な環境づくりについて、2点お伺いします。
 まずは、PCR検査体制の在り方についてです。
 熱がありコロナかもしれないと思ったときPCR検査を受けられなかったというのは、臨時会でも指摘され、検査数を増やすなど改善されつつあるように思います。
 コロナとの共生時代を生きる私たちにとって、最大の安心感はコロナ禍に負けない社会の仕組みづくりであり、万全な医療体制です。
 いつでも検査を受けられる安心感は必須条件であり、医療崩壊を招かないためにも欠かせません。
 この度、県では、希望する全ての妊婦さんにPCR検査を実施する補正予算を組んでいますが、小さな命を守る妊婦さんにとって本当に安心が得られると思います。
 一方、東京の歌舞伎町では、夜の街で感染者が増えていることから、ホストクラブの従業員にPCR検査を実施したとの報道があり、広島でも中四国最大の歓楽街を抱え、同じような心配はあると思います。
 知事は、全国知事会の若手知事の中心として、国に対し無症状であってもなるべく多くの人に検査していく必要性を提案されています。一方で、医療従事者の中には、現場での負担から、医師が判断した人のみ検査すべきと主張される人もおり、そのさじ加減はとても微妙ではないかと考えます。
 そこで、第2波、第3波に備えた本県での検査体制の強化に向けて、PCR検査の対象範囲の拡大や対象者の優先順位をどう考えているのか、また、抗原検査との併用や政府が導入した接触確認アプリの現場での運用など、知事の考える感染拡大防止に向けたPCR検査体制の在り方について、御所見をお伺いします。
 併せて、抗体検査による県内感染実態の把握も必要と考えますが、どう進めるつもりか、見解をお伺いします。


【知事答弁】
 感染拡大防止と,社会経済活動を両立させるためには,「積極的な感染防止戦略」を示す必要があると考えており,PCR検査を始めとする検査能力を大幅に拡大させることは,早期に感染者を発見し,感染を囲い込み,感染拡大を防止するための重要な要素であると認識しております。
 このため,国内1日10万件の検査実施を前提に,全国の人口比率に応じ,今年度中に1日2,400件程度の検査体制の確保を目指すこととし,広島市など保健所設置市との連携はもとより,検査可能な医療機関に対し,積極的に働きかけ,機器等の導入を支援することにより,検査体制を段階的に強化することとしており,6月補正において,1日1,700件程度の受け皿を確保するための予算を計上したところでございます。
 また,感染拡大リスクや重症化リスクを考慮し,クラスター感染に脆弱な施設の感染拡大防止対策として,まずは,感染症医療の最前線で業務に当たられている医療従事者の方に対しまして,定期的なPCR検査を実施してまいります。
 抗原検査につきましては,30分程度で判定でき,さらに唾液による検体採取も可能となったことから,今後,医療機関において積極的に活用し,PCR検査との効率的・効果的な併用を進めてまいりたいと考えております。
 運用が開始された厚生労働省の接触確認アプリ「COCOA」は,陽性者と接触があったことを利用者へ通知するものであり,保健所からの連絡を待つことなく,検査を受けることができます。
 本県におきましては,接触の通知とともに表示される相談窓口へ連絡いただくと,帰国者・接触者外来へ案内する仕組みとしており,早期に感染者を把握するため,県民の皆さまへの利用を促してまいりたいと考えております。
 抗体検査につきましては,無症状病原体保有者を含め,県内の市中感染や医療従事者の感染実態を把握する疫学調査として,実施することとしております。
 この事業は,広島大学に委託し,広島市,福山市,三次市を含む県内5市町において,無作為抽出により同意の得られた方について,今年度中に3回調査を実施することとしております。
 調査結果につきましては,疫学の専門家による分析をもとに公表し,今後の感染拡大防止施策に活用してまいります。




(2)県有施設へのサーモグラフィーの設置について

【質問】
 次は、県有施設へのサーモグラフィーの設置についてです。
 自粛解除となり公共施設も新しい生活様式を取り入れながら、徐々に日常を取り戻しつつあります。
 しかし、専門家も指摘する感染の第2波を考えると、クラスター発生の未然防止の観点から、公共施設にも体温を測るサーモグラフィーを設置するのが、効果的な策の一つではないかと思います。
 広島市の平和記念資料館などでは既に導入され、市は今後、臨時交付金を活用して、施設の利用人数や設備の管理人員などを踏まえ、設置箇所を拡大するようです。
 また、大阪府では、クラスター対策の一環で、庁舎内にサーモグラフィーを設置しています。
 本県でも、県立美術館の2か月ぶりの開館に併せてサーモグラフィーを設置したとの報道がありましたが、その他の利用者数の多い県有施設での対応はどうなっているのでしょうか。
 県民の健康を守る観点から、不特定多数が出入りする県有施設を安心して利用いただくためにも、同様の取り組みが必要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。


【総務局長答弁】
 新型コロナウイルス感染症は,現在,移動制限も緩和されたところではございますが,引き続き,「密閉・密集・密接」のいわゆる三密の回避など,感染拡大防止に向けた取組につきましては,当面,継続する必要があると認識しております。
 現在のところ,サーモグラフィーは,民間企業からの御寄附を受け,「県立美術館」と「県立文化芸術ホール」の2施設に設置させていただいて
おるところでございます。
 一方,サーモグラフィーの設置には,多額の経費やマンパワーが必要となるといった課題もございます。
 現在,その他の県有施設につきましては,サーモグラフィーは設置せず,消毒液の設置や三密の回避など,施設の状況に合わせた個々の取組により,感染拡大防止に努めているところでございます。
 今後,往来の活発化が見込まれる中で,県民の皆様に安心して県有施設を利用していただくため,「新型コロナウイルス感染拡大防止のための
広島県の対処方針」に沿って,また,各施設の状況に合った機器等の活用も含め,引き続き,効率的で適切な感染拡大防止対策について,検討してまいります。




2 命を守る取り組みについて
(1)児童虐待への取り組みについて


【質問】
 質問の第2は、命を守る取り組みについてお伺いします。
 県のこども家庭センターで相談対応を行った児童虐待の件数は、平成30年度に2,243件となり、過去最高となりました。
 こうしたコロナ禍以前の増加傾向を踏まえますと、感染の収束が見通せず、明日への希望が見えにくい不安な環境の中、今後も更に増えてい
くのは容易に想像がつきます。
 特に、親同士の暴力を子どもが見る面前DVと言われる心理的虐待は、最も多くなっています。
 そうした中、この度の補正予算では、コロナ禍の中でも安心して相談できるよう、こども家庭センターなどに通信機器等を活用して相談体制を
整備していくとのことです。
 子どもを取り巻く周囲の大人の気づきや、こども家庭センターをはじめとした関係機関同士の更なる連携がしっかり機能発揮されることで、
小さな命を救うことにつながると考えます。
 そこで、深刻化する児童虐待について、現状をどう分析し、また本県の取り組みをどう進めていくのか、知事の御所見をお伺いします。


【健康福祉局長答弁】
 本県の児童虐待相談対応件数は年々増加し,また,全国的には死亡事案も後を絶たないなど,児童虐待は依然として,社会全体で解決すべき重要な問題であると認識しております。また,近年の核家族化の進展や地域のつながりの希薄化に加え,新型コロナウイルスの感染拡大の影響などにより,今後も児童虐待の増加や重篤化が懸念されるところでございます。
 このため,本県では,昨年度策定した「ひろしま子供の未来応援プラン」において,児童虐待の防止対策に特に注力していくこととしており,県だけではなく,市町や関係機関,地域などが力を結集し,未然防止や早期発見・早期対応に繋げる仕組みを構築していくこととしております。
 具体的には,ひろしま版ネウボラにおいて,全ての子育て家庭と関わる中で,リスクの芽を発見し,機を逃さずに必要な支援に繋げるほか,リスクの高い事案や親子分離が必要になるような事案を把握した場合には,市町の子ども家庭総合支援拠点とこども家庭センターが連携・共有し,迅速な対応を図ることとしております。
 また,新型コロナウイルス感染症の拡大の影響としましては,学校の一斉臨時休業が行われていた3月から5月のこども家庭センターにおける児童虐待相談受付件数は675件で,前年の647件から微増しておりますが,学校からの相談・通告が減る一方,市町や警察などからの相談・通告が増加している状況にございます。
 今後も,感染拡大による長期間の外出自粛や学校の一斉臨時休業などに備え,オンラインで,子育て中の保護者が気軽に相談や交流できる「おしゃべり広場」を全ての市町で活用するほか,支援が必要な子供の安全確認などを市町等と連携して取り組むこととしております。引き続き,ネウボラ,子ども家庭総合支援拠点,こども家庭センターとの役割分担と連携により,県全体としての児童虐待対応力を強化し,すべての子供たちが,成育環境の違いに関わらず,健やかに夢を育むことのできる社会の実現を目指してまいります。




(2)配慮が必要な子どもたちの育ちへの認識について

【質問】
 「虐待」の事件は、圧倒的に力の差のある子どもに対して行われるその非道さからセンセーショナルに報道されますが、その後の子どもの生活については、私たちはあまり知ることはありません。
 しかし、子どもにはそれからの長い人生が待っています。親のように親身に自分のことを大切にしてくれる大人の存在は、その後の子どもの育ちに大きな影響を及ぼします。
 現時点で保護を要する子どもの8割以上は乳児院や児童養護施設で過ごし、里親のもとで育つ子どもはわずか16.3%です。
 16年前に里親制度の推進について質問したとき、里親への委託率が5%であったことを考えると、10%以上伸びたとはいえ、本県は長年にわたり全国平均以下の低い水準のままです。
 4年後の県の目標とする30.7%までにはほど遠い現状があります。
 近年、増え続ける虐待事案に、里親制度の中核を担うこども家庭センターも対応に追われ、その後の子どもの生活の回復や、心のケアになかなか目が向かない実態もあるのではないかと思います。
 子どもにとって質の高い里親養育のための里親のリクルートや研修、マッチング支援などの一連の業務を「フォスタリング業務」といいますが、これらは委託することが可能です。
 しかし現在、こうした業務を包括的に実施する民間機関は県内になく、今後、専門性を要するフォスタリング業務を委託して体制を強化していくことは、子どもの最善の利益を考えていく上で、大切な要因になってくると思います。
 「ひろしま子供の未来応援プラン」において、社会的養育の充実強化を図るため、「里親委託等の推進」を掲げておられますが、子どもの健やかな成長を考えると、家庭的な環境で愛着関係を養う里親制度を、県はもっと本気で推進していくべきだと思います。
 そこで、親元を離れざるを得ない子どもの育ちについて、どのように認識し、今後、県はどのように関わっていかれるのか、知事の御所見をお伺いします。


【知事答弁】
 子供が心身ともに健やかに成長するためには,信頼できる大人との愛着関係の形成が不可欠であり,虐待など様々な事情により,家族と暮らすことができない子供に対しましては,里親委託や養子縁組などにより,特定の養育者のもとでの安定的,永続的な生活が保障されるべきもの
と考えております。
 また,保護者が子育てに不安や負担を感じている場合,地域の里親が短期間,子供を預かるなど,里親制度は地域の子育て資源としても多様な役割が期待されています。
 一方で,本県の里親・ファミリーホームへの委託率を見てみますと,年々増加はしているものの,全国平均より低い値で推移しており,子供の未来応援プランの目標数値の実現に向けては,抜本的な取組の強化が必要な状況にあると言えます。
 このため,本年度,里親のリクルートや研修のほか,子供と里親のマッチングや養育する里親への支援といったフォスタリング業務の民間委託,及び,こども家庭センター,市町における里親支援の在り方について,検討を進めているところであり,県・市町・民間が連携,協力して里親委託を強力に推進し,支援する仕組みを構築してまいります。
 本県では,子供の未来応援プランにおいて,「すべての子供たちが,成育環境の違いに関わらず,健やかに夢を育むことのできる社会の実現」を目指す社会像として設定したところであり,児童虐待などにより,親子分離せざるをえない子供などであっても,一人一人の能力を最大限高め,自分の可能性を信じ,果敢にチャレンジすることができる社会の実現に向け,里親委託の推進をはじめ,社会的養育の充実・強化に全力で取り組んでまいります。




(3)次期DV基本計画の策定について

【質問】
 今年は第3次「広島県配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する基本計画」の改訂年です。
 児童虐待と同様に家庭という密室の中で起こるDVの被害者は圧倒的に女性です。
 もともと経済基盤が脆弱で、コロナ禍の中、仕事を失い経済的にますます困窮する女性は更に多くなっています。
 NHKの特集番組で、専門家はDVの起こる背景に経済的要因もあると指摘していますし、また、DVと児童虐待は同時に起きやすい関係にあるとも指摘されています。
 そのような中にあって、全市町に構築されている要保護児童対策地域協議会と連携したDV防止ネットワークは一刻も早く構築されなければいけません。そして、市町の相談窓口へ女性の相談員を配置することも喫緊の課題であると思います。
 また、相談員の方は、相談内容の多様化から、多くのスキルを求められます。しかし、そのほとんどは非常勤で、多忙さと処遇の低さにより、モチベーションの維持が難しいといわれており、研修を通した相談員の質の向上と、その処遇面の改善も必要です。
 更には、年々相談が増加する外国人へのきめ細かい対応や、母子生活支援施設や婦人保護施設、民間シェルター、性被害ワンストップセンターとの緊密な連携など、課題は多くあります。
 4年前の一般質問で、現計画の策定について伺ったところ、幅広い観点から十分に検討し、実情を踏まえた実効性のある計画を策定して、女性がDVに苦しまず、生き生きと安心して生活できるよう取り組んでいくとのことでしたが、依然DVが根深い社会課題であることを踏まえますと、更にアクセルを踏み込んで対策を進める必要があると考えます。
 女性が安心して働き暮らせるには、根底に「男女共同参画社会」の構築は不可欠であります。
 そこで、これまでの第3次計画期間中の取り組みに対する評価と課題認識について、知事の御所見をお伺いします。
併せて、第4次計画の策定に向けた知事の決意をお伺いします。



【知事答弁】
 DVは,生命や身体に重大な危険を生じさせるばかりでなく,精神的にも大きなダメージを与える重大な人権侵害であり,社会全体で取り組むべき喫緊の課題であると認識しております。
 このため,「広島県配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する基本計画」いわゆる,DV防止基本計画を策定し,配偶者暴力対策の取組の方向をまとめ,体系的に施策を実施しているところであります。
 新たなDV防止基本計画の策定に当たりましては,今後,現行計画の成果や課題を検証した上で,本県が目指す姿とその実現に向けた方向性をわかりやすくお示ししていく必要があると考えております。
 これまで,DV防止基本計画に沿って,婦人相談員の設置や体系的な研修の実施による市町の相談体制の強化,また,人目を気にせず相談窓口などの情報が入手できるような被害者への情報提供,また,母子生活支援施設による一時保護体制の強化,そして被害者の自立に向けた心理的ケアや就業支援などに取り組んでおります。
 こうした取組を進めることにより,被害者が身近な地域で安心して相談でき,適切な支援を受けられる体制が構築されると考えておりますが,一方で,市町ごとの相談体制にばらつきがあることや依然として,被害にあった人のうち,相談しなかった人が約半数いるなど,多くの課題が残されているものと認識しております。
 さらに,DV相談に係る一時保護では,6割以上が母親と子供を一緒に保護しており,また,心理的虐待として,面前DVに関する警察からの通告が大幅に増加するなど,近年,児童虐待とDVの双方を視野に入れ,連携した支援を必要とする事案が増えております。
 こうした課題や情勢変化等を踏まえ,次期DV防止基本計画におきましては,DVと児童虐待に関連性があることを視野に入れたこども家庭センターの機能強化や,より身近な地域での相談しやすい環境整備,また,子供を含めた被害後の心理的ケアの充実,さらにはDVの加害者にも被害者にもさせないための若年層からの更なる予防教育の強化などに注力していく予定でございます。
 引き続き,現状や課題のさらなる分析を進め,本県の目指す姿とギャップを埋めるための取組の方向性をとりまとめてまいります。
 今後も,暴力が未然に防止され,配偶者からの暴力におびえることなく,心身ともに安定して暮らすことができ,仮に被害を受けたとしても,子供を含めた適切な支援により,自らの可能性を最大限に高めることができる社会の実現に向けて,全力で取り組んでまいります。




(4)若年層へのデートDVの啓発促進について

【質問】
 第3次計画での目指す姿の一番に掲げられている若年層への予防教育は、とても大切です。
 内閣府の調査によると、「交際相手から暴力を受けたことがある」と答えた女性は、2008年度の20人に1人程度から、2017年度には5人に1人となり、急激に増加しています。
 若い男女間で生じるデートDVが結婚後のDVにつながらないためにも、どんな行為がDVに当たるのか、具体的な啓発が必要です。
 平成28年2月定例会の私の質問に対し、研修等で教職員の意識啓発や指導力の向上を図り、関係機関と連携して児童生徒向けの学習資料の作成検討などで、デートDVの防止に努めるとのことでしたが、最新の県の意識調査によれば、半数以上の高校生に十分認知されていない実態があり、啓発・浸透は道半ばと考えます。
 以前、ある県立高校で全校生徒を対象に「デートDV防止ひろしま」の方が、高校生とともに分かりやすくロールプレイングする様子を拝見しました。そのアンケートには、高校生の率直な感想が多くあり、座学よりも子どもたちの体験が大切だと思いました。
 そこで、若年層にデートDVに関する正しい知識を理解・浸透させ、DV予備軍を生まないためにも、学校現場での効果的な取り組みが必要だと思いますが、課題認識と併せ、教育長の御見解をお伺いします。
 DVは、命をも失いかねない重大な事案です。福祉と教育の連携をしっかり取り合いながら、子どもたちを被害者にも加害者にもさせない不退転の決意で取り組んでいただくことを強く要請したいと思います。


【教育長答弁】
 いわゆるデートDVにつきましては,身体的暴力だけでなく,精神的暴力や性的暴力,金銭強要など,犯罪となる行為をも含む大変深刻な問題であると考えております。
 このことから,児童生徒の発達段階や学校の実態に応じて,学習指導要領等に基づき,家庭科等の教科や道徳教育において,相手に対する理解を深め,信頼と敬愛の念を育み,対等でより良い関係を築くことについて深く考えさせ,デートDVの防止に繋がる学習を行うことが必要であると考えております。
 この度の県の調査におきまして,デートDVについての予防教育を実施した学校の割合は,増加傾向にありますが,実施していない学校の生徒に関しては,デートDVについて正しく認識していない生徒が多いことも報告されており,課題ととらえております。
 教育委員会といたしましては,引き続き,デートDVの問題につきまして,関係機関と連携し,様々な研修や学校訪問等を通じて教職員の指導力の向上を図るとともに,児童生徒向けの資料を活用するなど,デートDVの予防に努めてまいります。




3 女性の健康支援について
(1)子宮頸がんワクチンの情報提供と受診率向上について

【質問】
 質問の第3は、女性の健康支援について2点お伺いします。
 まずは、子宮頸がんワクチンの情報提供と受診率向上についてです。
 今回の新型コロナウイルスで、私たちはウイルスの恐ろしさを思い知らされましたが、がんの中でもウイルスにより罹るがんが、子宮頸がんだといわれています。
 しかも、このがんは、ワクチンにより予防できるがんでもあります。今、新型コロナウイルスのワクチン開発が全世界で待たれておりますが、子宮頸がんのワクチン接種は、7年前に定期接種となり、小学校6年生から高校1年生が対象となっています。
しかしながら、行政からの個別通知のない地域では、自分がそのワクチン接種の対象かもわからず、接種のタイミングを逃してしまう人もいます。特に、現在高校1年生の女子は、公費での定期接種のためには9月末までに1回目の接種を行う必要があります。
 日本では、このワクチンでの副反応の事例が報道機関に大きく取り上げられ、国が積極的な勧奨を中止した結果、接種率は1%未満にまで落ち込みました。しかしながら、その後の国内での疫学調査で有意差はないとの結果が出ており、また、世界的には接種率は7割から9割で、男子が公費接種の対象となっている国もあります。
 このがんは、国内で年間1万人の女性が罹り、亡くなる方は毎年3千人といわれており、これは、毎日8人の女性が子宮頸がんで死亡している計算になります。こうした事実は、どこまで県民へ周知されているのでしょうか。
 残念ながら、県内の市町では、ワクチン接種の個別通知がほとんどされていないようですが、国も情報提供のあり方に関して、この1月の副反応検討部会で、「接種対象者とその保護者に対し情報が十分に行き届き、接種するかどうか検討・判断できるよう、自治体からリーフレットの個別送付を行うこととしてはどうか」と方向性を示しています。
 岡山県では、このワクチンを周知するリーフレットを作成しており、茨城県でも、県内自治体にワクチン情報を提供するよう通知していると伺っています。
 そこで、感染症予防の意識が高まる今、教育委員会とも連携して、子宮頸がんがウイルス性のがんであること、だからこそワクチンで予防できることを啓発し、定期接種対象の年齢のお子さんとご家族にはこうした情報が個別に通知されるよう、県としても積極的に関与すべきと考えますが、知事の御見解をお伺いします。
 一方で、ワクチンの接種とともに、がんの早期発見には定期的ながん検診も必要です。
 特に、10月は女性のためのがん検診一斉受診月間として、昨年度は県内32の医療機関で日曜日にも受診できるようにし、女性医師やスタッフが担当するなど、取り組みを進めております。
 しかしながら、県の推進計画では受診率50%を目標に掲げながら、子宮頸がんは40.2%と、低調な状況が続いており、「日本一」を目指す本県としては、現行の取り組みがどこまで功を奏しているのか、しっかり検証することも必要ではないでしょうか。
 受診率が低迷したままでは、治癒率の高い早期がんを発見する機会を逃すことになってしまいます。
 そこで、「がん対策日本一」を掲げる本県として、特に、子宮頸がんの検診の受診率向上に向けた取り組みについて、併せて御所見をお伺いします。


【健康福祉局答弁】
 子宮頸がんを予防するためには,子宮頸がんとそのワクチンに関する,科学的根拠に基づいた,最新の正しい情報を常に,県民の皆様に向けて発信することが重要であると認識しております。
 国におきましては,子宮頸がんワクチンの有効性と安全性に関する情報や希望者が円滑な接種を受けるために必要な情報を整理する一方で,積極的な勧奨とはならないよう,情報提供のあり方を含めて,検討されているところでございます。
 県としましては,情報提供の目的や方向性に関する国の検討状況を踏まえつつ,教育委員会とも連携して,予防接種の実施主体である市町の取組を支援してまいります。
 一方,検診の受診率につきましては,とりわけ,女性特有のがんの受診率が低いことを踏まえ,休日に女性が受診しやすい環境を整えた「一斉受診月間」を2年間にわたり,実施いたしました。
 この取組により,約2,200名の女性が受診したものの,がん検診を初めて受診した者は2割程度に留まるなど,新規受診者の掘り起こしには至らなかったため,モデル事業としましては終了したところでございます。
 この結果も踏まえ,今年度は,これまでの取組の中でより効果の高い取組を強化して実施することとしております。
 具体的には,中小企業等への個別訪問による,がん検診受診の働きかけにつきまして,これまで訪問した企業の好事例をまとめた啓発資材の作成と受診率が上がらない企業へのフォローアップを実施しているところでございます。
 また,協会けんぽの被扶養者が受診の必要性を認識しやすいよう,その抱えているリスクを示した勧奨ハガキを準備することにより,市町が行う検診の受診率向上を図る取組を支援してまいります。
 こうした取組につきまして,市町を始めとした関係機関と連携し,継続的に実施することで,子宮頸がんを含む全てのがん検診の受診率向上を図ってまいりたいと考えております。




(2)アピアランスケアへの助成について

【質問】
 次は、アピアランスケアへの助成についてです。
 アピアランスとは、英語で「外見」を意味します。手術や抗がん剤、放射線などにより傷痕が残ったり、皮膚や爪の変色、脱毛といった外見の変化を生じることがあり、がん患者にとって治療前とは違う自分の姿は、人に会う上で大きな障がいになります。
 こうしたがん患者の悩みに対し、医学的・技術的・心理的に支援するのが「アピアランスケア」です。
 国立がん研究センターや神奈川県立がんセンターに専門機関が設置されるなど、アピアランスケアに取り組む医療機関は着実に増えています。
 また、自治体でもがん治療で脱毛した人が着けるウィッグや乳房手術後に使う補整下着、人工乳房などに助成する動きが加速しています。
 中でも、静岡県では、本県も実施している妊娠の可能性を残す妊孕性温存治療と共に、市町が医療用補整具購入費を助成する場合にその半分を負担しています。行政として患者が社会とのつながりを保ち、その人らしく前向きに日常を過ごせるよう支援してくれていることに勇気が出ると、とても喜ばれています。
 2017年には国も「第3期がん対策推進基本計画」の中で初めてアピアランスケアの問題を明記し、23都府県内において補助制度が設けられるなど、対応が本格化しています。また、治療で脱毛したがん患者が、運転免許証の写真更新時に、帽子の着用が認められるなど、外見に配慮する動きは広がっています。
 がん患者の5年生存率は、治療法や検査技術の進歩により、この15年ほどで53%から64%に伸び、早期がんの多くで90%を超えています。
 そのため、治療を受けながら仕事など社会生活を営む人は、今後ますます増えていくものと思われます。治療と仕事の両立に向け、がん対策の柱の一つである「がんとの共生」の実現にアピアランスケアは欠かせません。
 そこで、「がん対策日本一」に加え、「女性の働きやすさ日本一」を掲げる本県としてもこうした助成を行い、がん患者の「心の痛み」にまで寄り添うアピアランスケアに積極的に取り組んでいくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。


【知事答弁】
 がんは,早期発見・早期治療により治癒する病気となってきていることから,平成30年3月策定の「第3次広島県がん対策推進計画」においても「がんとの共生」を柱の一つとして掲げ,がんになっても安心して生活し,自分らしく生きていくことのできる社会の構築を目指して取り組んでいるところでございます。
 これまで,若い世代のがん患者の方への支援に関しましては,平成30年度に,他県に先がけて,妊孕(にんよう)性(せい)温存治療費に対する助成を開始したところであり,将来,子供を産み育てることを望むがん患者が,治療後の社会生活に希望をもってがん治療に取り組むことができるよう,支援しているところでございます。
 また,がんと向き合う期間が長くなっている中で,治療と仕事を両立する環境を整備していくことも,重要な課題であると認識しております。
 このため,
・チームがん対策ひろしま登録企業における職場内の両立支援意識の醸成や,
・医療者と企業の間で,患者の情報を共有し,仲介・調整を担う,両立支援コーディネーターの養成
などに取り組んでいるところでございます。
 こうした,がんとの共生を図っていく上で,アピアランスケアも重要な要素の一つであることから,現在13の県において補助制度が設けられているところであり,今後,こうした他県の状況も参考にしながら,検討してまいりたいと考えております。
 さらには,がん患者の心の痛みや悩みに寄り添うための,相談支援機能の充実も図ることにより,今後とも県民の皆様が,がんになっても仕事などが続けられ,自分らしく豊かに生きることのできる社会の実現を目指し,取り組んでまいります。




4 成年後見制度の推進について

【質問】
 質問の第4は、成年後見制度の推進についてです。
 この制度は、認知症や知的障害などの理由で判断力が十分でない人を支援するため、家庭裁判所から選任された後見人が本人に代わって福祉サービスを受けるために必要な契約の締結や、財産管理などを行うものです。創設から20年が経ちましたが、利用者は伸び悩み、2018年末時点で全国では約22万人となっています。
 独居高齢者も増加する中、この制度を必要とする人は数百万人とみられます。
 2016年には利用者がメリットを実感できるよう運用を改善するため、成年後見制度利用促進法が成立し、国は同法に基づいて基本計画を策定し、全国どこでも必要な人が制度を利用できるよう、権利擁護支援の地域連携ネットワーク構築を柱に掲げました。
 本県でも、地域福祉支援計画で「権利擁護の推進」を掲げていますが、現状は、利用促進計画に地域連携ネットワークの構築を位置付けている市町はなく、目標とする全市町での構築には、全力で取り組む必要があります。
 現場の市町からは、広域で進める上でも、まずは県に方向性を示してほしい、市民後見人研修を県全体でやってほしい、他の自治体の情報がほしいなど、様々な声が挙がっています。こうした各市町の現状を、県はどこまで把握できているのでしょうか。
 市町の計画策定に向けた進捗状況には差があり、特に進んでいないところへのフォローが必要ですが、県は法が求める広域的な見地から、成年後見人等となる人材の育成や必要な助言等を行う上で、市町の声を真摯に受け止め、対応してほしいと思います。
 そこで、高齢者を守っていくためにつくられた成年後見制度が、高齢者にとっても御家族にとっても安心できる制度として機能していくためにも、法の趣旨に基づき、県は広域的見地から積極的に関わり、市町の取り組みが更に進むよう連携・支援が必要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。


【健康福祉局答弁】
 成年後見制度は,認知症や知的障害などにより判断能力が不十分な方々の財産や権利を保護するとともに,これらの方々の日常生活等を社会全体で支えるための重要な手段であると認識しております。
 こうした中,県といたしましては,判断能力が十分でない方の権利擁護のため,市町や県社会福祉協議会が行う市民後見人の育成や法人後見事業の充実・強化を支援しているところでございます。
 しかしながら,後見人が本人の意向を十分に確認しないまま,財産処分を進めるケースがあるなどの不満から,利用が伸び悩んでいるところであり,市町からは,地域連携ネットワーク構築のための研修や他の市町との情報共有の場の設置などの要望をいただいているところでございます。
 このため,今年4月に策定した「広島県地域福祉支援計画」の中で,権利擁護をさらに推進することとし,新たに,県社会福祉協議会と連携し,市町や市町社会福祉協議会職員を対象とした地域連携ネットワーク構築の研修を実施するとともに,弁護士や司法書士などの専門家を市町に派遣し,助言を行うこととしております。
 今後とも,関係機関と連携し,市町の地域連携ネットワークの構築を進めることにより,高齢者や障害者の方々が,安心して生活ができるよう成年後見制度の推進に努めてまいります。




5 情報・コミュニケーション条例の制定について

【質問】
 質問の第5は、情報・コミュニケーション条例の制定についてです。
 新型コロナウイルスの感染拡大で、聴覚に障がいのある人たちがコミュニケーションの壁に直面しています。
 新しい生活様式の中で、日常使う機会の増えたマスクは、相手の口の動きや表情を覆い隠し、意思の疎通を妨げてしまいます。
 外出自粛の最中は、自治体への問い合わせや連絡手段に困る人も少なくありませんでした。
 自治体窓口などに耳マークを置いたり、「筆談に応じます」などと明示しているところも多くはなってきているものの、担当者の口元が見える「透明マスク」を着用するなど、意思疎通しやすい更なる環境整備は急務です。
 誰もが年齢を重ねて高齢者になり、生活上、様々な不都合が生じることがあります。中でも、人生の途中で聴力を失った人は手話が難しく、むしろパソコンを使った文字通訳がなじむ方も多くおられます。
 障害者権利条約でも、言語とは音声言語と手話、その他の形態の非音声言語をいうとあります。
 非音声言語には、要約筆記・点字などが含まれ、それぞれが多様な障がい者にとっての言語であります。
 今度のコロナ自粛で、多くの方が気付いたことの一つに、人とのコミュニケーションの大切さがあるのではないでしょうか。
 コミュニケーションの手段は人それぞれですが、特に聴覚に障がいを持つ方にとっては、外から分かりにくい分、当事者が安心して発信できる環境をいろいろな場面で配慮していくことが必要です。
 そうした中で、全ての障がい者が円滑に意思疎通を図れるよう、合理的配慮をしなければならないとする障害者差別解消法が制定された2016年以降、情報・コミュニケーション条例は既に8県58市で制定され、本県でも廿日市市や東広島市で施行されています。
 これらの条例の特徴は、障がいの特性に応じた意思疎通ができるよう、総合的に支援していこうとするもので、多様な障がい者に対応すべく障がい者自身の選択と自由をサポートしていくという姿勢です。
 そこで、全ての障がい者にやさしい広島県を実現するため、本県においても「聞こえない人を置いてきぼりにしない」との思いで、情報・コミュニケーション条例を制定していくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。


【健康福祉局答弁】
 障害のある方々が,安心して日常生活を送り,社会において活躍する上では,可能な限り,円滑にコミュニケーションを図ることができる環境づくりは重要であると認識しております。
 これまでも,本県では,広島県障害者プラン及び広島県障害福祉計画に基づき,障害福祉サービスの計画的な確保に努めており,専門的,広域的な県の役割として,意思疎通支援のために必要な手話通訳者や要約筆記者,盲ろう者向け通訳・介助員等の人材養成,派遣を実施しているところでございます。
 また,様々な障害特性や障害者への理解と共に助け合う共生社会を推進する「あいサポート運動」等を通じて,様々なコミュニケーション手段の普及啓発も進めております。
 このたびの新型コロナウイルス感染症の拡大に際しては,点訳及び音訳ボランティアによる在宅での点字・録音図書の作製を支援するとともに,遠隔手話サービスによる支援体制の強化など,状況の変化に応じた必要な取組を行っているところでございます。
 情報・コミュニケーション条例につきましては,国や他県の動向,条例制定による効果などにつきまして,引き続き,調査,研究を行うとともに,現在行っている様々な取組を着実に進めることで,全ての障害者にやさしい広島県の実現に努めてまいります。


6 被服支廠の保存の進め方について(要望)

【要望】
 次は、被服支廠の保存の進め方についてです。
 広島県は1棟保存、2棟解体を撤回されておらず、その決定は、現在1年先送りされている状況です。
 全棟保存を望む多くの声が要望書という形で届けられていると承知していますし、会派としても全棟保存の主張は変わっておりません。
今年は被爆75年の大きな節目であり、記憶の継承は年々難しくなる中にあって、物言わぬ被爆者と言われる被爆建物の存在は、ますます重要性を増しています。
 今年度、県では検討する協議会を立ち上げ、保存の在り方を議論しようとされていますが、その構成員は、今後の議論の行方を左右する大切な要因となります。
 高校生、大学生など若い人もこの被服支廠に大きな関心を寄せていますので、是非若い感性もこの協議会の議論に活かしていただきたいと思います。
 また、県としてもどういう思いを持って、協議会の候補者一人一人に承認を得ていくのか、その覚悟も問われるのではないでしょうか。
 コロナ禍の中、日程が遅れているのは承知しておりますが、次年度の予算編成時期を考慮すると、この10月には方向性を示す必要があると考えます。1日も早く協議会のメンバーを決め、議論に入る環境を作っていただきますよう要望いたします。



【おわりに】
 最後に、不便さを感じる人が遠慮せずに助けを求められることが当たり前の社会になり、最も生きづらさを感じる人たちが希望を持てることこそ、誰もが不安を抱える社会へのエールになるのではないかと思います。
 思いやりにあふれた温かい広島県でありますよう、心より願い、私の質問を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。