2017年3月10・13日       

平成29年2月定例会 予算特別委員会 質問

1 ひろしま版ネウボラについて
(1)コーディネートを担う仕組みについて
(2)リスク家庭の早期発見とケアにつなげていく仕組みについて

2 教育費の無償化について
(1)誰もが良質な教育を公平に受けられる環境の整備について
(2)私立高校授業料の無償化について
(3)私立高校入学手続金等について

3 母子生活支援施設の役割と課題について

4 発達障害者支援法の改正への対応について
(1)発達障害者のライフステージを通じた支援体制について
(2)広島県発達障害者支援センターの体制や機能の強化について
(3)家族支援の充実について

5 介護人材の育成について
(1)介護職員による喀痰吸引等制度の周知等について
(2)医療的ケアを行える介護職員の養成について




【あいさつ】
 公明党広島県議会議員団の日下美香でございます。
 平成15年の初当選以来、子どもへの投資は未来への投資であり、福祉と教育の連携の中で、次世代育成こそ最も力を入れていくべきと、一貫して子どもの育ちについて訴えてまいりました。
 新年度の予算に、このような視点が盛り込まれてきたことについては、一定の評価をしております。子どもの未来を応援していくことが、将来、親になるであろう人たちへの安心にもつながることと思います。
 中でも、平成22年2月の私の質問に知事自ら「イクメン宣言」をされ、当時は批判もありましたが、男性の育児は今ではすっかり定着して「イクメン」は実体としてあたり前となりつつあります。
 耳慣れない言葉でも実体が伴うことにより定着してくることを考えれば、「ネウボラ」も今後、「子ども」と言えば「ネウボラ」と言われるように着実に取り組んでいただきたいと思います。
 今定例会でも多くの方が、このネウボラについては議論をされましたが、その中で、私も少し気になることが幾つかありますので、質問させていただきます。




1 ひろしま版ネウボラについて
(1)コーディネートを担う仕組みについて


【質問】
 母子保健と子育て支援の一体化が「ひろしま版ネウボラ」の特徴で、妊娠期から子どもが小学校に上がるまで、同じ担当者が継続的にサポートする体制を整えるということだと思いますが、一体化していく為には、それをコーディネートしていく仕組みをどのようにするかが課題となります。
 既に存在している市町のハード・ソフト資源を利用する場合、そのつなぎ目となる役割をどうしていくのか、が大切です。そこをうまくつないでいけるかどうかが成否の鍵となるのではないかと思います。
 最初の質問は、その要となるコーディネーターが既存の市町の事業などをどのようにつなぎ、一体化させる仕組みを構築していこうとしているのか、健康福祉局長にお伺いいたします。


【健康福祉局長答弁】
 ネウボラにおいて適切なコーディネートを行い、必要な支援を行っていくためには、その家庭が抱えている課題を正確に把握し、どのような支援が必要なのかを見極める必要がございます。
 このため、日常的に地域との連携を図り、市町のサービスに加えて、ボランティアによる取組なども含め、地域の母子保健と子育て支援に関わる社会資源について必要な情報を収集・蓄積していくこととしております。
 こうした様々なサービスを基に、ネウボラにおいてコーディネーターが、それぞれの家庭に応じた個別支援プランを作成し、必要なサービスをワンストップで提供する体制を構築してまいります。




(2)リスク家庭の早期発見とケアにつなげていく仕組みについて

【質問】
 ワンストップで支援をしていくとなると、様々なケースが考えられると思います。このネウボラには、10人に1人と言われる産後うつや年々増えている児童虐待などのリスクを抱える家庭をどのように発見し、そして、どのようにその後のケアにつなげていくのかという課題があると考えます。
 リスク要因には、望まない妊娠や10代での妊娠などといった保護者側の要因、未熟児や何らかの育てにくさを持っているなどといった子ども側の要因、単身家庭や経済不安のある家庭などといった養育環境の要因があり、様々なリスク要因が絡み合って児童虐待が起こるため、リスクを抱える家庭をできるだけ早期に把握することが重要です。
 福岡市では、医師会と連携して、子どもが小児科にかかる時などを活用し、そこで医師がちょっと気になる人にはリスク発見につながる項目を聞取り、児童相談所等につなげていく仕組みがありました。
 医療機関でまず発見できる体制は大切です。
 ハイリスクの家庭は、自ら周囲に支援を求めたり、各種の子育て支援サービスの利用に対して消極的になりやすい傾向にあり、地域でなかなかわかりにくい側面があるからこそ、あらゆる機会を通してネウボラにつなげていく努力が必要です。
 ハイリスク家庭の早期発見と様々なサービスにつなげていく仕組みをどのように考えておられるか、健康福祉局長にお伺いいたします。

【健康福祉局長答弁】
 ハイリスク家庭を早期に発見するためには、妊婦健診や乳幼児健診などの際に、医師が発見したリスクの兆候を迅速にネウボラへ情報提供していただくことが重要であると考えており、産科や小児科などの医療機関との連携方策について、検証してまいりたいと考えております。
 ネウボラでは、妊娠期の早い段階から継続的に保護者とのつながりを持ち、何でも安心して相談できる環境を整え、多くの方に利用していただくことにより、リスク家庭の早期発見につなげていきたいと考えております。
 また、リスクを抱えた家庭をネウボラが把握した際には、家庭状況に応じた個別支援プランを作成し、医療機関やこども家庭センターなどの専門機関と連携しながら支援していくこととしております。

【要望】
 市町事業に県がどこまで関わることができるのか、とまだ心配は尽きません。医師会や関係団体と連携した仕組みの構築に、今後、県も積極的に関わっていかなければいけないと思います。
 子ども最優先のチャイルドファーストの子育て先進県として、その取り組みを加速していただきたいと思います。




2 教育費の無償化について
(1)誰もが良質な教育を公平に受けられる環境の整備について


【質問】
 次に、子どもの未来を応援する観点から教育費について質問いたします。
 今定例会の代表質問で下西議員から学校教育の無償化について質問した際には、「国の動向を注視するとともに、教育費の負担軽減に向けた要望等を行っていく」とお答えいただきましたが、県としても誰もが良質な教育を受けられるよう取り組みを進めていただきたいと思います。
 来年度、「子供の生活に関する実態調査」が本県でもやっと実施されることとなりました。7年前、私は「子どもの貧困への認識と対応」について質問し、「実態をきちんと調査した上で対策を立てていくべき!」との主張をさせていただきました。平均所得の半分以下の所得で生活している子どもは年々増えており、その数は6人に1人とも言われ、貧困の連鎖も課題とされております。
 教育は子ども達の人生や可能性を大きくひらくからこそ、その格差解消は大変重要です。先進国の中で、日本の教育関連予算は最下位ですが、その背景には、子どもの教育費は親が負担すべきとの考えが根強くあると指摘されています。
 今回、多くの参考人の方々が「医療費を削減し、保育・教育費などもっと次世代の為に予算を!」と提言されました。私も心から共感しました。
 先のネウボラもフィンランドがお手本ですが、北欧諸国など教育先進国では、子どもの教育費は広く社会全体で負担すべきとの考え方が普及しています。ほとんどの場合、大学まで授業料が無料であり、教育を受けることで貧困から誰もが脱出できる仕組みができているのです。国においても、新年度、給付型の奨学金が導入されることとなり、大きな一歩だと思っています。成育環境に左右されることなく、子ども自身の夢を叶えられる教育への支援は全ての人の安心にもつながります。
 そこで、誰もが良質な教育を公平に受けられる環境の整備に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、知事のお考えをお伺いします。

【知事答弁】
 次世代を担う子供たちが、生まれ育った環境に左右されることなく、健やかに育ち、夢や希望、意欲にあふれ自立した人間へと成長することは、県民全ての願いであり、家庭の経済状況等にかかわらず、全ての子供たちが、将来、社会参加や自立するために必要な知識・能力を身に付けられるようにしていくことが必要であると考えております。
 このため、本県では、家庭の経済状況や児童生徒の学力等に応じた支援を行うとともに、児童生徒の基本的な生活習慣、また家庭における学習習慣の定着を図るための、家庭教育支援アドバイザーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡充などに取り組んでいるところでございます。
 こうした取組に加えて、来年度は、効果的な子供の貧困対策の在り方や県、市町、支援機関等の連携方策を検討するために、「子供の生活に関する実態調査」を実施することとしております。
 また、教育委員会におきましても、この結果等も踏まえて、幅広い分野の専門家や関係団体等からの御意見を伺った上で、教育の観点から、どのようなことができるかにつきまして、具体的な施策の方向性を明らかにすることとしております。
 これらの取組を通して、広島で生まれ育った全ての子供たちが、成育環境の違いにかかわらず、健やかに夢を育むことのできる広島県を実現してまいります。

【要望】
 教育の原点は子どもの幸福にあります。全ての子ども達に希望が行き渡りますよう教育の環境整備を進めていただきたいと思います。




(2)私立高校授業料の無償化について

【質問】
 高校進学は義務教育ではないものの、今の社会で当たり前になっており、特別な教育を望まなければ公立高校へと進み、毎月の学費を少しでも安くしたいと望むのは当然のことです。しかし、そう望む人、全てが公立高校に入れない現状の中で、やむなく私立(しりつ)高校へ進学し、学費への家計負担に苦しんでいる人は多くいます。
 先日、NHKで「見えない貧困」という番組が放映されました。アルバイトをしなくては生活費も授業料もままならない状況の中で勉強する高校生の厳しい実態が報じられ、大変衝撃を受けました。今は貧困そのものが見えないからこそ、学校に通っていても、担任にも周囲にもわかりにくく、個人の問題に矮小化(わいしょうか)されていることが問題の本質ではないかと危惧しています。
 東京都では新年度から年収760万円未満の世帯を対象に私立高校の授業料が実質無償化されるという政策が打ち出されました。画期的なことだと思います。財源が豊かな東京ならではの判断とは思いますが、そこまではいかなくても所得制限を設けて、本県も私立高校への授業料を段階的に無償化していくべきだと思います。本県の高校生のうち、私立高校に通う生徒の割合は約3割とお聞きしています。このうち授業料が無償となるのは、年収250万円未満の世帯までで、私立高校に通う生徒の約1割です。
 仮に、無償化の対象を年収350万円未満の世帯まで拡大すると、約2割の生徒の授業料が無償となり、追加で必要となる予算は、約3億円と試算されておりますが、 私立高校の授業料の無償化についてのご所見を環境県民局長にお伺いします。

【環境県民局長答弁】
 私立高等学校等就学支援金は、公助が必要な世帯への教育費負担軽減策として支給されているもので、国においては、公立学校に通う年収910万円未満程度の世帯が実質無償化となる支給額、約12万円を基準に、私立学校に通う世帯に対して、年収区分ごとに加算した支援金を支給しておりますが、いずれも、本県における実質無償化に相当する支給額とはなっておりません。
 このため、本県では、独自の加算措置を行うことで、250万円未満程度の世帯を実質無償化、350万円未満程度の世帯を約3分の1負担としているところでございます。
 東京都におきましては、都内の給与所得者の平成27年度の平均年収額をもとに、年収760万円未満程度の世帯について、来年度から実質無償化するとされており、また、大阪府においては、年収調査をもとに、平成23年度から、610万円未満程度の世帯を実質無償化、800万円未満程度の世帯を実質6分の1負担としているほか、数県が独自の制度としていると伺っております。
 こうした状況等を踏まえ、まずは、他県状況や国の動向、本県の実態等を把握する必要があると考えており、調査の実施などについて検討してまいります。

【要望】
 千葉県では県内の高校生に実態調査をされたとのことでした。本県が新年度に行う「子供の生活に関する実態調査」の中で、こうした課題もわかるような調査項目も是非入れていただきたいと思います。また、貧困の連鎖を断ち切る決意を持ってご対応いただき、まずは年収350万円までの世帯に対しては、県の予算措置により無償となるよう要望しておきたいと思います。




(3)私立高校入学手続金等について

【質問】
 今、受験シーズン真っ只中でありますが、この時期になるとよくご相談を受けることがあります。それは、公立高校の合否がわかる前に私立高校に入学手続金等を払わなくてはならないということです。公立高校の合否がわかる前に手続金として数万円払うのはとても負担だ、という保護者からの切実な訴えがあります。広島県社会福祉協議会には低所得世帯の方に教育支援資金を貸し付ける制度があるものの、入学手続金等は対象外なのです。それでなくても子どもの進学には多額のお金がかかるものです。借りることもできず、困る保護者も多数おられます。少子化で競争の激しい私立高校の事情も十分承知しております。
 しかしながら、高校に入れなければ、なかなか就労できないような今の社会情勢の中で、保護者から見れば、我が子をせめて高校まで行かせたいと何とか工面している苦しい実情があります。弱い立場の受験生や保護者から見れば、入学するかどうかわかる前に私立高校に払う入学手続金等は払わざるを得ない制度になっており、県内のほとんどの私立高校に、この制度があります。
 平成27年に本県がこの全国調査をしたところ、そのような制度の学校が「ない」と回答したのは9府県で、「私学団体等に保護者の負担にならないよう要請等を行ったことがある」と回答したのは4都県でありました。全国ではこの制度の廃止が進んでいる中で、調査をした本県では対応が進んでいません。
 本県としても「学校設置者と保護者との契約の問題」だと放置せず、保護者の教育費の負担軽減の観点から問題意識を持ち、見直しを呼び掛けていくべきではないかと思いますが、環境県民局長のご所見を伺います。

【環境県民局長答弁】
 私立高校の入学手続金等につきましては、設置者が、各学校法人の状況に応じて、総合的に判断されるものと考えております。
 また、入学金返還訴訟に係る平成18年の最高裁判決によりますと、「入学金は学校に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有し、入学金の納付後に、在学契約が解除、失効となっても返還義務を負わない」とされていることから、裁量の範囲を著しく逸脱している場合を除き、県として、一律に指導や要請を行うことはできないものと認識しております。
 県といたしましては、私立高校に通う世帯に対する、入学金や授業料等の教育費負担そのものの軽減がどうあるべきかについて問題意識を持っており、そうした観点から、今後、必要な調査等を行ってまいりたいと考えております。

【要望】
 最終的には私立高校の自主的な判断となりますが、東京都では約20年も前に、都と私立中学高校協会が申し合わせ、入学金の納入期限は保護者の負担に配慮するよう確認し、大半の私立高校が廃止しているということでございます。本県においても今後ぜひ積極的に呼び掛けていくよう要望させていただきます。


 昨年の代表質問で、私は「誰も置き去りにしない社会」をテーマに、欲張りたくてもなかなか欲張れない人に対しての底上げを県として真剣に取り組んでいただきたいということを発言させていただきました。
 私はどうしても「欲張りなライフスタイル」との言葉の中に社会的に弱い立場の人たちへの目線が足りないのではないかとの感がぬぐえないのであります。
 今の格差社会の中で、懸命に、額に汗して働きながらも、欲張ることのできない、すでに取り残されてしまっている人たちがたくさんいます。
 本県が本気で「欲張りなライフスタイル」を目指すのであれば格差のない社会を実感する人がたくさん増えてこそ、その実践者としてはじめて全員がスタートラインにつけるのではないかと思うのです。
 社会的弱者の方への視点、次世代の未来を応援していく視点を明快に持ちながら、全ての人がスタートラインにつけるような政策展開を期待し、質問を終わります。




3  母子生活支援施設の役割と課題について

【質問】
 母子生活支援施設について質問いたします。
 母子生活支援施設は、以前「母子寮」という名称で、生活に困窮する母子家庭に住む場所を提供するものでしたが、平成9年の法改正で名称が改称され、その目的も「保護する」から「保護するとともに、生活を支援すること」と改正されました。近年、DVを理由に入所される方が増加するなど、時代の変遷とともに、母子生活支援施設の役割も変化しています。
 現在、母子生活支援施設は、県内10か所に設置されています。そのうちの一つ、呉の嶺南荘(れいなんそう)を訪問し、施設長にお話しを伺ってまいりました。集合住宅の横には保育園もありました。お部屋も見せていただきましたが、冷蔵庫、掃除機、炊飯器といった生活に必要な家電製品のみならず、布団やタンス、勉強机もあり、明日からでも住めるような環境で、思った以上に充実していることに正直驚きました。施設長とお話ししている最中にも、幼い子どもを連れたお母さんが出入りされ、施設の職員と安心したように笑顔で話されている姿が印象的でした。
 地域で生活しているひとり親家庭の多くは、さまざまな支援を必要としています。お母さんたちがひとりで抱えている困難を軽減し、孤立することなく、安心で安定した生活が営めるようサポートしてくれる場所として求めている人はもっとおられるのではないかと思います。しかし、施設では定員割れとなっており、措置費がつかないため、思うように運営できないという、苦しい事情もあるようです。
 そこで、母子生活支援施設の役割をどう認識しているのか、また、現在の利用状況や課題をどう考えているのか、健康福祉局長にお伺いします。

【健康福祉局長答弁】
 母子生活支援施設は、経済的な理由や住宅事情など、さまざまな理由で支援を必要とされている母子世帯が、親子で入所できる唯一の児童福祉施設であり、母と子の心身と生活の安定を図り、自立を支援する重要な施設であると認識しております。
 最近の利用状況を見ますと、DV被害者の入所が最も多く半数以上を占めておりますが、定員に満たない施設も多く、ひとり親世帯が増加する中において、必ずしも施設の利用度は高くない状況となっております。
 なお、入所の決定は市町で行われており、支援が必要な方々に入所を勧めておりますが、子供の転校や、母親が仕事や地域のつながりなど現在の生活環境を変えたくないという理由で入所をためらわれていることが多いほか、入所された場合でも在所期間が短く、2年未満の世帯が最も多いという状況にございます。
 これらのことから、施設によりましては、入所世帯数が少なく、あるいは世帯数の変動によって措置費収入が不安定となり、安定的な運営に影響を及ぼすことがあると考えております。
 このため、支援が必要な世帯に対し、市町からの、より丁寧な説明により、入所への理解を深めていただくとともに、措置費の取扱につきましては、施設の特性に応じた制度運営が行われるよう、国に働きかけてまいりたいと考えております。

【要望】
 必要に応じて利用できるよう全市町の担当窓口に対して改めて周知すると共に、施設のない市町でも当然、予算措置されているものと思いますが、よくご確認いただきたいと思います。母子生活支援施設は児童福祉施設の位置付けであり、子どもの最善の利益を考え、その役割を十分果たしていけるよう支援をしていただきたいと思います。




4 発達障害者支援法の改正への対応について
(1)発達障害者のライフステージを通じた支援体制について


【質問】
 発達障害者支援法の改正への対応について質問いたします。
 発達障害のある方の特徴として、外見だけでは障害があるようには見えないため、周囲から気付かれにくく、本人は生きづらさを抱え、その保護者は育て難(にく)さを感じることが多いと言われております。
 発達障害に対する支援は、できるだけ早い時期、乳幼児期に発見し、早期支援につなげていくことが大切ですが、発達障害に気付かない、又は気付いても適切な支援が行われなかった場合、引きこもり生活となったり、就職後、コミュニケーションがうまくとれず、うつ病などの精神疾患になるといった二次障害を発症するなど、いわゆる大人の発達障害に係る問題が近年、顕在化してきております。
 こうした中、発達障害者支援法が改正され、昨年8月に施行されました。改正発達障害者支援法においては、ライフステージを通じた切れ目のない、きめ細かい支援体制の整備に向けて、新たに就労定着支援、司法手続きにおける配慮などが規定され、発達障害支援の一層の充実を図ることとされております。
 県においても、平成22年に作成した事業指針を見直すとお聞きしています。
 そこで、発達障害者のライフステージを通じた切れ目のない支援体制をどのように構築しようとしているのか、知事にお伺いします。

【知事答弁】
 発達障害者やその家族の方が、地域で安心して暮らすためには、乳幼児期から高齢期に至るまで、ライフステージを通じた切れ目のない支援が行われる必要がございます。
 このため、本県では、発達障害の当事者団体をはじめ、関係機関により構成された支援連携委員会におきまして、施策の方向性をまとめた事業指針を作成し、早期発見から発達支援、教育支援、就労支援などに取り組んできたところでございます。
 この度の発達障害者支援法の改正におきましては、基本理念に、切れ目のない発達障害者支援が明記されたところであり、どのライフステージにおきましても、必要な支援が受けられる体制や施策の充実・強化が必要とされております。
 このため、生育歴等を記録したサポートファイルの利用を、より一層促進し、成長過程で支援機関が変わっても一貫した支援を行えるよう取り組んでまいります。
 また、現在、改定中の事業指針に、
 ・ 保育所、学校、職場等での障害特性に応じた相談支援の充実や、
 ・ 身近な地域で診療が受けられる医療機関の確保、
 ・ また、関係機関が相互に連携した地域の仕組みづくり
などを盛り込んで、支援施策を展開していくこととしておりまして、このような取組によって、ライフステージを通じた切れ目ない支援体制を構築してまいります。

【要望】

 事業指針の見直しを行う際には、平成22年度の事業指針の検証をしっかりした上で、当事者とご家族にとって本当に喜ばれる支援体制を構築していただくよう要望させていただきます。




(2)広島県発達障害者支援センターの体制や機能の強化について

【質問】
 発達障害は、支援のためのノウハウが十分普及していないため、各地域における支援体制の確立が喫緊の課題となっています。このため、市町村・事業所等支援、医療機関との連携や困難ケースへの対応等について、地域の中核である発達障害者支援センターの地域支援機能の強化が求められています。
 そこで、この度の発達障害者支援法の改正に対応して、発達障害支援を総合的に行う拠点である県発達障害者支援センターの体制や機能の強化をどのように図っていこうとするお考えなのか、健康福祉局長にお伺いします。

【健康福祉局長答弁】
 広島県発達障害者支援センターは、発達障害者や家族の方が、身近な地域で個別支援が受けられるよう、市町、事業所、学校等に必要な助言・指導を行い、地域における重層的な支援体制の構築に取り組んでおります。
 この度の法改正におきましては、新たな県の責務として、
 ・ 就労定着支援、
 ・ 権利擁護・司法手続きにおける配慮、
 ・ 相談支援の充実
などが、新設、拡充されております。
 このため、来年度からセンターの専門職を1名増員し、5名の体制により、
 ・ 一般企業やハローワークへの研修や現地指導、
 ・ 警察や保護観察所への研修やケース会議への出席、
 ・ 各市町の困難事例に対する専門相談
などに新たに取り組んでまいります。

【要望】
 大人の発達障害が顕在化する中、特に就労して自律していくことにむつかしさを感じます。当事者とそのご家族に寄り添いながら地域で安心して暮らしていけるよう適切な助言のできるセンターになりますよう要望させていただきます。




(3)家族支援の充実について

【質問】
 我が子が発達障害と診断を受けた時、突然「障害」という言葉を聞かされても、そのご家族は「とまどい」でいっぱいになると思います。保育士や幼稚園の先生方がその障害に気付いても、そこから保護者の理解を得て、行政の支援に結び付けることが難しいということも聞いております。
 先月、呉市で開催されました県の発達障害地域啓発セミナー「映画で知ろう発達障害、家族も発達障害とともに暮らしている 〜家族支援を考える〜」に行ってまいりました。親は、子どもが発達障害があると認めると、そのレッテルが一生子どもに貼られてしまうようで不安に感じたり、また、周囲に理解者がおらず孤立し、自分しか子どもを守ることができないと思い詰めるなど、障害を受け入れるまでにストレスや悩みを抱えておられること、そして、子どもの障害を受け入れる形は一人ひとり異なり、「行きつ戻りつ」の状態であり、その人や家族の気持ちに寄り添った支援が重要である、と改めて感じたところでございます。
 改正発達障害者支援法には、新たに、「都道府県及び市町村は、家族が互いに支え合うための活動支援を適切に行うよう努める」旨が明記されたところであり、家族支援の在り方も色々ありますが、その中でも発達障害のある子どもの子育てを経験した保護者である、いわゆるペアレントメンターによる支援も有効だと思います。
 そこで、今後、発達障害児・発達障害者を抱えている家族への支援について、どのような手法を取り入れようとしているのか、健康福祉局長にお伺いします。

【健康福祉局長答弁】
 発達障害の支援に当たりましては、できるだけ早期に発達支援を行うことが重要とされておりますが、保護者の中には、子供に発達障害があることを認めたくなかったり、対応方法について十分理解していないことなどから、適切な支援につながらない場合もございます。
 このため、早期の支援につながるよう、来年度から新たに、発達障害のある子供を育てた保護者が、自身の経験に基づき、同じ目線から不安や悩みの相談に乗り、子育てや生活について助言を行うことができるペアレントメンターの養成に取り組むとともに、メンターが地域で活動できるよう企画・調整する市町のコーディネーターを養成し、ペアレントメンターを効果的に活用するなど、家族支援の更なる充実に努めてまいります。

【要望】
 障害のある子どもを持つ保護者が子育てしやすい町をつくるためにも、メンターが安心して活動できる環境を整えていくことが大切です。
 県は、ペアレントメンターの研修を担当し、具体的には市町が運営していくことになります。今後、各市町で様々な課題が生じてくると思いますが、課題が生じた町を置き去りにすることなく、しっかり検証していただきながら、サポートしていただきたいと思います。
 県において7年ぶりに見直す指針につきましては、PDCAを回しながら取り組みを進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。




5 介護人材の育成について
(1)介護職員による喀痰吸引等制度の周知等について


【質問】
 次に、介護人材の育成について質問いたします。
 昨年、県内3か所の老人福祉施設の介護職員が、研修を受けるなどの要件を満たさずに、たんの吸引や胃ろうをしていたことが報じられました。また、先月には、呉市の特別養護老人ホーム、安芸高田市の障害者支援施設でも、医療行為が認められていない介護職員が利用者のたんの吸引を繰り返していたと報道されております。
 平成24年から一定の研修を受けた介護職員等がたんの吸引等を行えるようになりましたが、法改正から約5年が経過した今でも、こうした不適切な医療行為が繰り返されています。こうした報道は氷山の一角ではないかと大変危惧しております。
 報道には、「制度の認識不足などもあり、対策を怠っていた」という施設側のコメントもありましたが、県として、どのように制度の周知を図り、再発防止のための措置を講じられるつもりか、健康福祉局長にお伺いします。

【健康福祉局長答弁】
 利用者が安全にサービスを受け、介護職員が安心して働けるという観点から、介護現場において、管理者や職員が、喀痰吸引等の制度に対する理解を深め、適切に医療的ケアを実施できるよう徹底する必要があると考えております。
 これまでも、県や市町が実施する集団指導研修や、関係団体の会議等において、従事者証の交付・事業所登録等、制度の概要や自主点検項目を記載した資料を配付・説明し、注意喚起を行っているほか、必要な手続き等について個別相談に応じております。
 しかしながら、報道されたような不適切事案が発生していることから、改めて関係団体に対する注意喚起を行ったところですが、今後とも
・施設等における定期的な自主点検の徹底
・ホームページによるわかりやすい登録手続きの情報提供等を通じて再発防止に努めてまいります。




(2)医療的ケアを行える介護職員の養成について

【質問】
 介護職員が、たんの吸引等を行えるようになるには、50時間の講義を受け、シミュレータ研修と10回以上の実地研修を受ける必要があることなどから、おおむね半年から1年程度の時間を要すると伺っています。ただでさえ職員が不足していると言われる介護の現場においては、時間的にも費用的にも非常に負担が大きいと考えます。
 要介護者の重度化が進む中、たんの吸引や胃ろうなどの医療的ケアを行える介護職員を養成することは、介護サービスの質を向上させる上でも不可欠であると思いますが、県としてどのように取り組むのか、健康福祉局長にお伺いします。

【健康福祉局長答弁】
 後期高齢者の増加に伴い、医療依存度の高い高齢者が増える中、医療的ケアの行える介護職員の養成が円滑に進むよう支援することが必要であると考えております。
 このため、平成27年度から老人福祉施設連盟に対し、医療的ケアのできる介護職員とその指導を行う看護師を養成する研修事業を支援しているところでございます。
 一方で、施設側からは「研修時間が長く、費用がかかるため研修に行かせづらい」、「指導看護師や実地研修先が確保できていない」といった課題が寄せられています。
 こうした課題に対しましては、
・国に対して、「研修制度の簡素化・見直し」や「介護職員が行う医療的ケアへの介護報酬上の評価の創設」等を働きかけるとともに、
・関係団体や医療機関等に協力を要請し、指導看護師の養成、実地研修先の拡充を図るなど、医療的ケアを行える介護職員の養成に努めてまいります。

【要望】
 介護職員が自信を持って働くことのできる環境整備は、利用者にとってもご家族にとっても安心につながります。今後も質の高い介護職員が増えるよう、県として努力していただきますよう要望して終わります。