2013年2月22日       

平成25年2月定例会 本会議

1 「人づくり」分野における取組について

(1)「ファミリー・フレンドリー」について

【質問】
 少子高齢化と人口減少の進展は,どちらも税を担う人たちの減少という意味において,将来の財政状況の懸念材料になっている。
 このことに歯止めをかける政策などは様々講じられているが,もはやこの現象を止めることはできず,いかにそのサイズに合った財政や経済のあり方を探っていくか,また,いかに暮らしやすい街づくりに知恵を出していくかが問われている。
 さらに,全ての人が社会で,その個性に応じた力をどのように発揮していくのかということが大切であり,従来の発想の枠に捉われない柔軟さが最も求められる。
 本県の重点分野の一つである「人づくり」は特に重要であり,「県政運営の基本方針2013」の中でも「女性の働きやすさ日本一への挑戦」,「新たな価値を創造する人材の育成」,「社会で活躍する人材の教育」といった柱が掲げられているが,人口減少やグローバル化の進展,あるいは,住民の価値観や生活スタイルの多様化などにより,今までの長時間労働の画一的な働き方から,従来とは違う発想で,多様な人材を活かす働き方が求められる。
 女性や外国人,若者が存分に個性に応じた働き方ができれば,新たな価値を生んでいくことになると思うが,これらは人の意識が大きく変わらなければならない部分も多くあるため,知事の強いリーダーシップのもとに,よほど思い切った政策を展開しなければ,その実現は難しいのではないかと思う。
 知事は,1次産業から3次産業まで幅広くイノベーションを起こすための新たな視点として,「ファミリー・フレンドリー」を掲げているが,平成25年度の重点施策の「人づくり」の分野において,この「ファミリー・フレンドリー」を視点として,どのような取組を進め,本県産業にイノベーションを起こそうとしているのか伺う。

【知事職務代理者答弁】
 イノベーションを起こす,すなわち,これまでの発想や手法にとらわれることなく,新しいアイデアで,モノや情報,仕組みなどを組み合わせることにより,新たな価値を創造していくためには,創業や新たな事業展開に挑戦する人や企業を応援する仕組みを整えることに加え,斬新な発想ができる人材やアイデアを見立てる力,仕立てる力,動かす力,そして,グローバルに展開していく力を持った人材を幅広く集め,かつ定着を図っていくことが不可欠であると考えております。
 こうした多様な人材を内外から惹きつけ,定着を促すためには,家族がそろって広島に行きたい,住んでみたいと思える環境を整備することが極めて重要であるとの観点から,「ファミリー・フレンドリーな魅力創造」をイノベーション創出に向けた重要な視点の一つと位置付けて,様々な施策に取り組むものでございます。
 とりわけ,女性が安心して働き,子どもを生み,育てられる環境は,家族が暮らしやすい環境を整備する上で,不可欠な要素でありますことから,平成25年度の「人づくり分野」の施策では,「女性の働きやすさ日本一」に向けた取組を進めることと致しております。
 具体的には,女性の就業継続を促すため,仕事と子育ての両立への不安解消を図る研修会の開催や,「いきいきパパの育休奨励金」を活用した男性の積極的な育児参加を促す取組に加え,保護者が安心して子どもを保育所等に預けて働くことができるよう,保育所の整備や,保育のミスマッチの解消を図るための保育コンシェルジュの設置に対して支援をしていくことと致しております。
 また,このような,「人づくり分野」の施策に加え,医師確保や救急医療体制の充実を図る「安心な暮らしづくりの分野」の施策や,都市と自然の近接性を活かして人を呼び込む取組を推進する「豊かな地域づくりの分野」の施策を連携させ,安心して暮らせる生活環境と魅力ある地域環境を創出することにより多様な人材の集積・定着を図り,新たな価値を創造するイノベーションを継続的に起こし,強い経済,魅力ある雇用環境の創出を図って参りたいと考えているところでございます。




(2)女性の働きやすい環境づくりについて

【質問】
 昨今の経済環境の中で,共働きを希望する女性は増えており,そうした女性が働きやすく,もっと伸び伸びと活躍できる環境を整備することは,県経済にとっても大きな成長につながるものであり,そのためにも,まず具体的に必要となるのは,保育の課題である。
 保育園の不足や待機児童の課題については,様々な対応を検討されているが,多様化している保育ニーズへの対応も考慮する必要があるのではないかと考える。
 宮崎県では「病児等お助け保育モデル事業」を展開しているが,これは,保育所や幼稚園で保育中の児童が発熱した際などに,保護者が仕事などで迎えに行けない場合,保護者に代わって看護師らを派遣し,一時的に児童を預かって面倒をみるという全国的にも珍しい事業であり,こうした行政の制度は,万が一の時に雇用主にも働く人にも安心感を与えるサービスといえると思う。
 待機児童解消は当然のこととして,女性の働き方が多様化している今,休日保育,夜間保育,病児・病後児保育などは,女性の働きやすさに直結してくると思うが,安心して仕事と子育てを両立できる多様な保育ニーズの提供など,働きやすい環境づくりへ向けた対応について,知事に所見を伺う。

【知事職務代理者答弁】
 女性の社会参画を促進し,安心して仕事と子育てを両立できる環境を整備しますことは,ファミリーフレンドリーな広島県を築いていく上で,極めて重要であると認識をいたしております。
 このため,県では,働く女性が,結婚,出産を経ても継続した就労が可能となるよう
 ・離職防止のための研修会等の実施による働く女性の就業の継続支援
 ・事業所内保育所整備などによる子育てしやすい職場環境の整備
 ・多様な保育ニーズ対策の強化
 ・「しごとプラザマザーズひろしま」での女性の復職のための就職支援
 などに取り組んでいるところでございます。
 とりわけ,安心して子どもを預け働き続けることができる環境整備として,保育所の施設整備を促進をいたしますとともに,地域特性等を把握し,延長保育や病児・病後児保育など,様々な保育サービスの取組を,市町や関係団体と連携をして推進いたしております。
 さらに,制度周知を図るため,全国でも初めてとなるスマートフォンアプリの導入やフェイスブックを活用し,利用者相互が情報交換できる環境整備を行うなど,利用率の向上に努めております。
 また,保護者の就労形態が多様化する中で,個々の保護者への要望にもきめ細かな対応が必要なことから,新年度におきましては,広島市等に保育コンシェルジュを配置し,保護者の立場にたった相談対応を支援することといたしております。
 今後とも,広島労働局,市町,県保育連盟連合会,県私立幼稚園連盟,県医師会等の関係団体と連携しながら,地域の実情に応じた様々な保育サービスの充実に努め,就業意欲のある女性が,安心して仕事と子育てを両立できる環境づくりに,全力で取り組んで参ります。




(3)社会的配慮が必要な子どもや若者の自立支援について

【質問】
 「みんなで育てるこども夢プラン」について県が検証を行っている項目のうち,目標達成のために努力が必要としている項目に,配慮が必要な子どもの支援がある。
 全ての子どもたちが笑顔で暮らしていくためには,大人の愛情に育まれ慈しまれながら,社会で自立していくことがとても大切であるが,昨今,残念なことに虐待などにより,この当たり前の営みが中断されたまま,成長していくことを余儀なくされる子どもたちが増えている。
 施設や里親の元で育まれる子どもたちに対し,働けるまでのプロセスをサポートしていくことは大変重要な行政の仕事であり,県は今,若者の雇用対策などに力を入れているが,そうした子どもたちは社会の中でより自立しにくい環境にあることを見逃してはならない。施設整備のハード面だけではなく,ソフト面の充実が必要であり,そうした子どもたちの自立にもっと配慮すべきである。
 県は,社会的配慮が必要な子どもや若者の切れ目のない支援や社会的な自立の促進に取り組む姿勢を示しながら,子どもたちが社会人になるにあたり必須の資格である普通自動車免許を取得する予算を,今年度削除し,来年度も予算計上していない。
 県のこども夢プランにも,社会的養護を必要とする子どもたちへの自立支援対策の強化が掲げられているにも関わらず,自動車運転免許の取得に要する経費の助成の予算を削除された理由をお尋ねする。また,ソフト面でも,自立していくまでのきめ細かなサポート等,様々な配慮をしていく必要があると考えるが,その認識と,今後どのようにして取り組んでいこうとしているのかを知事に伺う。

【健康福祉局長答弁】
 児童養護施設等へ入所している社会的配慮が必要な子どもや若者に対しては精神面においても,経済面においても自立できるよう,きめ細かな支援が必要であると認識しております。
 施設入所児童への自動車運転免許取得費用の助成制度につきましては,安心こども基金を財源に,平成21年度に創設いたしましたが,平成23年度をもって,この事業が基金の対象外とされたことから終了いたしました。
 この間,県内の施設を退所した高校3年生58名中,31名が就職をし,このうち30名がこの制度の利用を希望した結果,全員が免許を取得することができ,これらの子どもたちからは,就職に際し,運転免許の取得は大きな助けになったと 聞いております。
 このように,本制度は有効であると考えられることから,県といたしましては,現在,県社会福祉協議会と連携し,県内の団体や個人からの寄付を活用した形での制度の運用に向け,協議を重ねております。
 そのほか,県内全ての児童養護施設において,高校受験を目指す児童に対し,副教材や講師による学習指導を行っているほか,高校生等に対しては各施設と学校で緊密に連携した進路指導に当たるなど,学習環境などの整備に努めているところでございます。
 今後とも,施設を退所した児童が,安定した生活を送ることができるよう,関係機関と連携し,社会的配慮が必要な子どもや若者の自立に向けた取組を推進して参ります。




(4)「中間的就労」の推進について

【質問】
 先日の新聞報道によると,20歳から59歳の働き盛りで未婚,無職の男女のうち,社会と接点がない「孤立無業者」が2011年時点で162万人に上るとのことであり,5年前と比べ4割強も増えている。ニートの高齢化が進行し,実態把握も困難になってきていることからも,困難に直面した人達に早い段階,若者の就労を丁寧に支援することは,財政リスクを回避していくためにも,経済成長と背中合わせで取り組まなければならない課題である。
 これまで,自治体や民間団体によるさまざまな生活・就労支援が講じられ,入口の相談支援,居場所づくりなどの支援は少しずつ整えられているが,出口の就労となると,いずれの取組もボランティア活動への参加にとどまるケースが多く,本格就労への結び付けに苦慮しているのが実情である。
 こうした中,一般就労の準備段階として「短時間」で「できる仕事」から就業体験を積み重ね,社会復帰を後押しする「中間的就労」という取組が注目を集めている。
 京都府では,2011年度から始めた「生活・就労一体型支援事業」を通して,就労意欲がありながらも,働くことに不安を抱えているニートや長期失業者などに対して,生活相談支援に加えて,就職自立支援として,短時間の軽作業から取り組める「中間的就労」を行っており,このような中間的就労を活用した取組は,全国的に広がりつつある。
 一般就労が難しく,従来の福祉施策の対象とならない「長期のひきこもり」,「不登校」などの若者のために,「一般就労」でも「福祉的就労」でもない,中間的な就労の場の取組を推進していく必要があると考えるが,知事の所見を伺う。

【環境県民局長答弁】
 ひきこもり,ニートなど社会生活を円滑に営む上での困難を有する若者等への支援につきましては,昨年3月に策定した「広島県子ども・若者計画」において,教育,福祉,保健・医療,雇用等各分野の関係機関・団体が連携して取り組むことといたしております。
 こうした中,直ちに一般就労を目指すのが困難な若者に対しましては,「若者交流館」や非営利組織において,農作業や高齢者介護をはじめとする職場体験の取組が進められているところでございます。
 また,一定の賃金を得ることのできる「中間的就労」につきましては,県が非営利組織と協働して実施しております新しい公共支援事業において,高齢者宅での家事援助や介護事業所での軽作業などに取り組んでいるほか,複数の非営利組織が,同様の取組を行っているところでございます。
 今後,県といたしましては,「中間的就労」に取り組んでいる非営利組織の支援内容も含めた「支援機関マップ」を作成し,広く県民にその活動情報を周知するとともに,相談から就労に至る切れ目のない支援のネットワークの構築・強化により,一般就労の準備段階である「中間的就労」に円滑につなげて参ります。
 こうした取組により,「中間的就労」を促進し,ひきこもりがちな若者の自立を支援して参ります。




(5)県立広島大学の今後の在り方について

【質問】
 来年度からの県立広島大学の第二期中期目標を,今年度策定されているが,中期目標(案)の基本理念は「地域に根ざした,県民から信頼される大学」となっており,人材育成目標として「グローバル化が進む社会経済環境の中で,企業や地域社会において活躍できる実践力のある人材の育成」が掲げられている。
 新たな価値を創造する人材育成について,知事は常に「グローバル」という表現を使うが,グローバル人材を求める企業とグローバル化に対応できるマネジメント力を身につけた人材の育成を目指す大学側との間に,「グローバル」に対する共通尺度をきちんと作るべきではないかと思う。学生がグローバルに活躍したいと望んで大学で学び,出口としてそうした学生を求める企業に就職につくという循環のためにも,「グローバル」という共通尺度のもとに,人づくりを官民あげて進めなければいけないと思う。
 例えば,中国地方にまだ無い「経営学修士」を県立広島大学で取得できるようにする,広島版MBAを創り就労への道筋を作るなど,県立広島大学へ進学をしたいと思わせる,モチベーションを上げる取組・特徴が必要であり,思い切った改革を進めていくべきであると思う。
 さらに,県立大学の地域貢献という観点からも,「知の投資」を県としてどのように活用し,整備していくのかということも含めて考えていく必要があると思う。
 県立広島大学について,これまでの課題を踏まえ,今後,どのような役割や使命感を持って人材育成に取り組んでいこうとしているのか,知事の所見を伺う。

【環境県民局長答弁】
 県立広島大学では,これまで,地域の要請に応える人材育成や研究などに取り組んできた一方で,少子高齢化の進行やグローバル化の進展など,社会経済情勢の変化に柔軟に対応して,課題解決に取り組むことのできる人材の育成が十分でないなどの課題があると認識しております。
 また,地域課題の解決につながる教育研究活動の実施など,大学の地域貢献機能の一層の強化が必要であると考えております。
 こうした課題を踏まえ,第二期中期目標におきましては,広い視野とグローバルな感覚を持って積極的に行動できる資質・能力を身につけ,企業などの実社会において,その発展に寄与する,実践力のある人材を育成することといたしております。
 このため,具体的には,社会人として必要となる主体性や思考力,コミュニケーション力,幅広い教養などを身につけるための,全学部共通の教養教育の充実強化や,高度で専門的な知識や技術を養うための,学部学科の枠組みを越えた専門教育課程の整備等に取り組んで参ります。
 また,県内産業を支える経営人材を育成するため,経営学分野の機能の強化を図ることとし,中堅・中小企業の経営に資する,経営学修士課程の創設に向けた検討を進めて参ります。
 更に,第二期中期目標におきましては,地域の企業等が抱える課題についての研究に取り組み,解決策の提案を行う,シンクタンクとしての機能を強化することにより,地域に貢献する大学を目指すことといたしております。
 具体的には,3キャンパスの地域連携センターを核として,企業との共同研究や地域課題の調査研究,地域資源を活用した新商品開発などの充実強化に取り組んで参ります。  こうした取組を推進するとともに,更なる大学改革を進めることによりまして,地域に貢献する公立大学としての役割を果たして参りたいと考えております。




2 国際平和実現への取組について

【質問】
 世界で初めて核の被害を受けたヒロシマの使命として,平和を発信し続けることは大切であり,被爆70年となる2015年のNPT再検討会議の広島開催については,党としても強く推進しているところである。
 このたび,関係者の努力により,2014年のNPDI(軍縮・不拡散イニシアティブ)外相会合の広島開催が決定したことは,一歩前進であったと思う。
 そのような中,この度の北朝鮮が行った核実験は,核兵器廃絶への時代の流れに逆行した極めて愚かな行為であり,断じて許されない暴挙である。
 先日,北朝鮮に強い影響力を持つ中国共産党の習近平総書記と我が党の山口代表が会談したが,尖閣諸島をめぐる問題などについて,山口代表の「両国の難局打開には,政治家,指導者同士の対話が大事」との呼びかけに対し,中国側も「真剣に検討していきたい」と表明した。中国とは領土問題をめぐってさまざまな懸念の高まりはあるが,今は共に手をとり核の脅威に立ち向かわなければならないと思う。
 また,核兵器なき世界を掲げ,ノーベル平和賞を受賞したアメリカのオバマ大統領の2期目が始動したが,世界で唯一原爆を投下した国のトップに広島に来てもらい,その目で広島を見,声を聞き,肌で感じ,その結果を広島から世界の指導者に向けて発信してもらうことは,核兵器廃絶に向けた重要なプロセスである。
 県では昨年,知事がスイスの国連欧州本部等を訪問し,「国際平和拠点ひろしま構想」の実現に向けて精力的に活動しているほか,この夏には音楽を通して平和を発信するため,「ひろしま平和発信コンサート」に取り組んでいるが,これらの取組を一過性のもので終わらせるのではなく,県として将来にわたって積極的に取組を継続していく必要がある。
 広島市長や広島出身の外務大臣ともしっかりと連携をとりながら,平和への加速の更なるイニシアチブをとっていただきたいと思うが,緊迫化する朝鮮半島情勢に対する危機感について,被爆地ヒロシマのリーダーとしてどのように認識し,また,今後,国際社会にどのような働きかけを行っていこうとしているのか,知事の所見を伺う。

【知事職務代理者答弁】
 国際平和の実現のためには,核兵器廃絶と地域の安定化に向けた取組が重要であると認識をいたしております。
 この点で,先日の核実験の強行など,北朝鮮の核兵器開発を巡る問題は大変大きな課題であり,国際社会が連携してこの解決に取り組む必要があると考えております。
 人類史上初の原子爆弾による惨禍を経験した広島県といたしましては,核兵器廃絶と国際平和の実現に向けて,国際社会に働き掛けていく使命と役割があると考えております。
 その具体的な取組として,今年度から,核軍縮等への各国の取組状況の調査・研究を始めているほか,来年度には,東アジア地域の核軍縮等をテーマとした,有識者による多国間での協議の場として,ラウンドテーブルを広島で開催する予定でございます。
 被爆地広島として,今後とも,こうした取組を含め,広島市を始めとする関係機関等と連携をしながら,「国際平和拠点ひろしま構想」の取組を一歩一歩着実に進め,核兵器のない平和な国際社会の実現に貢献してまいりたいと考えております。




3 広島市との連携強化の推進について

【質問】
 県は昨年,住民により良いサービスを提供するとして,広島市と類似する施設や事務事業等について連携や役割分担を整理するため,合同研究会を立ち上げたが,いわゆる二重行政解消の進展についてはあまり実感がわかず,県と市の連携強化について,もっとメッセージを発信してもらいたいと思う。
 一方,広島都市圏の魅力創出については,未利用地の効果的な活用も含め,県も関わっていくということで,大変期待しているところであるが,廃止した県営広島西飛行場や旧市民球場,移転した広島市立特別支援学校及び県が廃止を決めた県営基町住宅などの跡地は,まさに市中心部の集客力の高い地域であり,本県の活性化に大きく関わりを持ってくる。
 さらに,世界遺産の原爆ドームを有する平和記念公園周辺は,先ほどの跡地と同様に,中枢拠点性強化に向けて大きな影響を及ぼす地域であることに間違いない。
 そうした状況の中で,今年度,本県も平和記念公園を訪れる観光客を繁華街の紙屋町,八丁堀地区に誘導する具体策を検討するための基礎調査を実施されたところであり,今後は,広島都市圏の中枢拠点性の強化に向け,具体的な施策に取り組んでいく必要があると思う。
 既存の公共施設をはじめ,重なる業務内容のものは,費用対効果の効率化とサービスのわかりやすさと利便性向上のためにもできるだけ早く推進すべきと考えるが,二重行政解消と広島都市圏の未来像の共有化に向け,広島市長とどのように連携を進めようとしているのか,今後の取組と課題について,知事に伺う。

【知事職務代理者答弁】
 県と広島市の連携につきましては,県民・市民の利便性の向上や,県と市を合わせた費用対効果の改善などを図るため,昨年2月に「合同研究会」を設置し,県市が実施する類似の行政サービスの連携や役割分担のあり方について見直しを進めているところでございます。
 昨年の11月には,類似の行政サービスの現状や課題などをとりまとめるとともに,特に連携や役割分担が必要と考えられる産業振興や観光振興など,7つの分野について,見直しの方向性を整理したところでございます。
 こうした中,昨年9月には,県と市が一体となって運営する「広島ひきこもり相談支援センター」を設置し,相談窓口の一元化を図ったほか,平成25年度から公営住宅の入居者募集を共同化していくことで合意するなど,順次,取組を進めているところでございます。
 今後,7つの行政サービス分野につきまして,これまでの市との協議状況を踏まえ,具体的な連携方策等の内容や,検討の方向性・期限などについて,本年度末を目途に取りまとめることといたしております。
 次に,広島都市圏の活性化に向けた魅力づくりや中枢拠点性の強化につきましては,今年度,広島都市圏の活性化に向けた調査・検討を行いますとともに,広島西飛行場跡地の利活用策について,市と共同して検討を進めているところでございます。
 こうした取組を踏まえ,広島都市圏の魅力向上について,これまで以上に,市と十分な意思疎通を図り,連携・協力をしながら具体的な取組の検討を進めて参りたいと考えております。
 今後とも,市長との会談をはじめ,県・市で設置しております協議会などを活用して,より一層,信頼・協力関係を築き,連携した取組を進めて参ります。




4 さい帯血バンクの誘致と採取病院の設置について

【質問】
 さい帯血とは,赤ちゃんが生まれる時の胎盤とへその緒の中にある血液のことで,さい帯血には,血液のもととなる造血幹細胞がたくさん含まれており,白血病などの血液疾患の治療に用いられている。
 白血病の治療法として,骨髄移植が行われる症例が増えてきたが,骨髄ドナーの調整や負担が大きいことから,提供が間に合わないケースも起きており,これに比べ,さい帯血移植は,必要な時にすぐ供給でき,安全で経済的,時間的負担もほとんどなく,拒絶反応を起こしにくいなどのメリットがある。
 こうした移植は,現在年間2千4百件行われているが,移植を希望する全ての患者ニーズに応えるには,まだまだ不足しており,今後,高齢化などに伴う移植ニーズの増大に対応するためにも,急がれる課題である。
 一方,昨年日本で2人目となるノーベル医学・生理学賞を山中教授が受賞され,大きな話題となったが,このiPS細胞の発展的な研究において,重要な役割を果たすものとして,この「さい帯血」への期待が高まってきている。昨年9月に,白血病など血液の難病に有効な治療法である骨髄,末梢血幹細胞,さい帯血という造血幹細胞移植を一体的に推進するための「造血幹細胞移植推進法」が全会一致で成立したが,この法律は,iPS細胞など再生医療研究に,さい帯血の活用を認めた法律としても注目を集めている。
 こうしたことを知った妊婦や保護者から,「さい帯血を提供したいが,広島ではどこに行けばいいのか分からない。」などの問い合わせを受け,調べてみたところ,広島ではさい帯血を採取できる病院が一つもなく,さい帯血バンクさえも,中国地方には無いことがわかった。
 このような状況を踏まえ,白血病など血液疾患の治療に有効なさい帯血利用の拡大を図るため,広島にも是非,採取病院の設置,公的バンクの誘致とともにさい帯血に関する広報,担当窓口設置などの環境整備をしてほしいと思うが,さい帯血を取り巻く広島での今までの経緯と今後の取組について,知事に伺う。

【健康福祉局長答弁】
 平成23年4月時点で,さい帯血採取医療機関は,全国113箇所のうち,本県は4箇所,さい帯血バンクは,全国10箇所のうち,中四国地方では,岡山県の1箇所のみという状況でございました。
 これらで採取されたさい帯血は,全国で年間約千本が移植に利用されておりますが,中四国地方では,約30本程度,全体の3%の利用に留まっておりました。
 このような中,日本赤十字社の集約化方針により,平成23年7月から,県内の医療機関での採取が中止,同年度末をもって,中四国地方のバンクは福岡県に集約されました。
 なお,さい帯血移植につきましては,引き続き,県内3箇所で医療を受けることが可能となっております。
 こうした中,採取医療機関等の再開につきましては,
 ・無菌管理や搬送などの技術面
 ・人材や設備の確保,採算性などの運営面
 から,現時点では困難な状況にあります。
 一方で,さい帯血を提供したいという県民の志に応えるためには,集約後の状況に関する情報提供を行うことは重要であり,日本赤十字社等の関係機関と連携して積極的に,この点を進めて参ります。




5 性暴力被害者支援の体制整備について

【質問】
 本県における犯罪のうち,刑法犯認知件数は,2008年から2012年まで着実に減少しているが,性犯罪については,この6年間横ばい状態で年間200件前後の被害が出ており,2012年の広島被害者支援センターの電話相談も4人に1人が性的被害である。
 内閣府の「犯罪被害者白書」によると,警察への被害申告は実際の被害の1割程度に止まっているのが現状であり,被害にあったことを最も人に言いにくい犯罪だからこそ,見えていない被害も多くあるのではないかと思う。
 警察へ被害申告をした場合の対応は,協力医との連携や女性捜査員による対応,カウンセリング制度の実施など,以前と比べると充実してきたとは思うが,警察にはなかなか言い出せない,声を上げられない9割近い人たちが,エソール広島やこども家庭センター,病院等で相談をしても,同様の支援が受けられるような仕組みができないものかと思う。
 佐賀県では,警察に相談できずに悩んでいる人にも支援が必要として,昨年7月,県立病院内に「性暴力救援センター」を開設し,病院での診察や検査,カウンセリングの費用を負担している。
 全国的にも,性暴力被害者に対するワンストップの支援は広がりを見せており,現在8都道府県が設置又は設置を検討中とのことである。
 広島県は,この性被害支援拠点についてのアンケートの中で,「国の財政支援を求める」としているが,女性の働きやすさ日本一を掲げる本県としては,女性の尊厳を守る気風を社会全体で育むことに,もっと真剣に取り組むべきではないか。今後,こうした課題について,どのようにして支援体制の強化・拡充を図っていくのか,知事に伺う。

【知事職務代理者弁】
 性犯罪被害は,潜在化しやすい傾向にあるため,被害者に対する支援につきましては,相談しやすい環境を整備する必要があり,また,産婦人科等の医療面,相談・カウンセリング等の心理面,捜査手続きや公判対応などの法律面等,多岐にわたる支援を行う必要があります。
 昨年5月に内閣府から示されました,「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター開設・運営の手引」によりますと,ワンストップ支援センターの趣旨は,被害者の心理的負担の軽減を図りながら,必要なすべての支援を提供するということでございます。
 この趣旨を踏まえ,県といたしましては,被害者支援に当たっては,県,警察,公益社団法人広島被害者支援センターなど,最初に相談を受けたすべての相談窓口が,支援に携わる関係機関・団体と緊密に連携をし,必要とされる支援を確実に提供できる体制を整備することが効果的であると考えております。
 こうした支援体制の構築に向けて,今年度は,国・県及び民間の計33機関・団体で構成する「広島県被害者支援連絡協議会」におきまして,警察との連携の重要性や支援の際の留意点,連携方法等をまとめた「性犯罪被害者対応マニュアル」を作成しているところでございます。
 今後は,相談窓口の拡充を図りますとともに,いずれの窓口におきましても,被害者の立場に立った総合的な支援を提供できるよう,相談に関する資質向上のための研修や,情報共有のための定期的な情報交換会の開催など,更なる相談機能の強化を進めて参ります。
 また,被害の潜在化を防止する観点から,幅広く県民に対して,各相談窓口の周知に努めて参ります。
 こうした取組を着実に推進し,性犯罪被害者支援体制の充実・強化を図って参りたいと考えているところであります。




6 飲酒運転根絶を目指す条例制定について

【質問】
 飲酒運転の痛ましい事故が起きるたびに罰則は強化され,この10年,自動車やバイクによる飲酒運転事故は大きく減ってきており,厳罰化の効果と言えると思う。
 しかし,死亡事故が根絶したわけではなく,広島市では一昨年の5月,16歳の高校2年生の男の子が,自転車で帰宅中に飲酒運転の車にはねられ,亡くなった。
 被害者のご両親は,昨年5月,息子さんの一周忌を期して,福岡県が昨年春に施行した「飲酒運転撲滅条例」を広島でも制定するよう,県及び県議会に対して要望されたが,悲しみに暮れる家族をこれ以上出して欲しくないという思いを,重く受け止めなければならないと強く感じている。
 福岡県が昨年制定した条例は,道路交通法による規制強化には限界があるとして,道路交通法が事後対策,いわゆる飲酒運転の取締りに着眼しているのに対し,条例では原因にさかのぼった予防対策と飲酒運転の抑止対策に主眼を置いているのが特徴である。また,検挙される人の半数が再犯であることから,アルコール依存症対策と教育及び徹底した啓発の必要性を掲げ,2回目以降の違反者に医療機関でのアルコール依存症検査の受診を義務化し,従わなければ過料を科すなど,罰則規定を盛り込んだ全国初の条例である。
 この福岡県の条例は,昨年9月に全面施行されたが,飲酒運転による事故は前年より3割近く減少し,統計の残る1965年以降,最も少なかったそうである。
 飲酒運転防止に関する条例は,既に大分県,宮城県,山形県,沖縄県にあったが,昨年条例を制定した福岡県のほか,三重県,愛知県も条例制定の検討に入っているようであり,条例制定に向けた機運は,全国で高まりつつある。
 広島県も,飲酒運転のない安全で安心な県民生活の実現と,県民あげて飲酒運転根絶を目指すため,条例の制定に踏み出してはいかがかと思うが,知事の所見を伺う。

【環境県民局長者弁】
 飲酒運転の根絶につきましては,広島県においても,積極的に取り組んでいるところであり,飲酒運転根絶を目指す条例の制定につきましては,現在,他県の状況等を検証しているところでございます。
 福岡県では,平成24年中の飲酒運転による交通事故の発生件数は,全国平均以上減少しておりますが,これは,全国初の罰則付きの飲酒運転撲滅条例として,マスコミ等に大きく取り上げられたことや,本県でも力を入れて実施している「飲酒運転撲滅宣言店」の登録事業などにより,県民の意識が高まったことが主な要因であると伺っております。
 なお,罰則の効果につきましては,福岡県の条例が全面施行されて間もないため,更に確認する必要があると考えております。
 また,罰則がない条例を制定している4県におきましては,飲酒運転による交通事故の発生件数が全国平均以下となった県は半数であるなど,条例制定による明確な効果を認めるに至っていない状況でございます。
 本県といたしましては,今後,飲酒運転根絶に向けた取組を一層,充実強化するとともに,飲酒運転の防止に対する条例の効果等について,他県の状況を踏まえまして,引き続き,検証して参りたいと考えております。