1 台風被害対策について
(1)没水被害に対する対策について
担当部局:土木建築部  答弁者:知事
問:
2つの台風により,県内各地で,1万件を超える床上,床下浸水の被害があった。今回の浸水の原因は,台風の低気圧がもたらす異常潮位が原因とも言われているが,もし,そうであれば,今後,同じ程度の勢力を持った台風に見まわれる度に,県民は今回のような被害を受け続けなければならない。この度の台風のような自然の猛威に対しては,どれだけ事前に備えていたとしても,一切の被害を被らないで済むことは現実的には不可能であるとは思うが,少しでも被害が少なくなるよう,可能なものから対処していく必要がある。
県は,今回の浸水被害の原因をどのように捉え,また,それを踏まえて,今後どのように対応していこうとしているのか伺う。
答:
相次いで本県を襲いました台風第16号及び第18号は,記録的な高潮や暴風により,沿岸・島しょ部を中心に,床下・床上浸水併せて,台風第16号では7,587戸,台風第18号では4,523戸の多大な浸水被害をもたらしました。
この主な要因と致しましては,台風第16号におきましては,大潮で満潮も重なったことから,潮位が異常に上昇したこと,台風18号におきましては,広島市内において観測史上最高の瞬間最大風速毎秒60.2メートルを記録し,激しい風が南から吹き寄せ,これにより高波が発生したことなどが考えられます。
台風通過の翌日に,私が直接被災地を視察したところでは,こうした要因に加え,護岸前面に消波ブロックがない所での,護岸本体の被害が大きかったこと,雨水排水口に海水の逆流を防ぐゲートがない地域があったこと,内水排除のためのポンプ施設が十分稼動しなかったことなど,様々な要因によって,浸水被害が拡大したものと思われます。
こうしたことから,今後,早急に詳細な原因分析を行い,既設護岸の高さの嵩上げや未整備区間の整備促進に加えて,地元市町との連携による内水排除のための対策など,原因別に総合的な対策に取組むとともに,併せて必要な施設整備につきましては,国に対して要望して参ります。

(2)護岸の崩壊被害について
ア 護岸の復旧対策について
担当部局:土木建築部  答弁者:空港港湾局長
問:
海岸区域に設置される護岸は,県民の生命,財産を守る砦の役割を果たすものである。今回の台風では,その護岸が,広島港の廿日市地区や南観音地区,呉市内などをはじめとして,多くの地区で崩壊するという被害を受けた。西区草津港の護岸破損状況を見たが,消波ブロックのない護岸波返が陸地側に完全に倒れてしまっていた。これら護岸の原形復旧をいつ頃までに実施する予定であるのか,今後の復旧対策について伺う。
答:
この度の台風による護岸崩壊箇所の復旧につきましては,再度の災害を防止する観点から,県民の生命財産へ著しい影響を及ぼすおそれのある箇所を優先して,すみやかに応急復旧を実施いたします。
また,本格的な復旧につきましては,早急に取組んで参りますが,来年の台風来襲時期までには完了するよう努める所存でございます。

イ 護岸崩壊の原因分析と今後の対応について
担当部局:土木建築部  答弁者:空港港湾局長
問:
18号台風は最大瞬間風速が60.2mを観測するなど,かつてない強さの台風であり,それによってもたらされる波の力も過去の経験では予想できなかったものなのかもしれないが,このように多数の護岸が崩壊し,県民の生命,財産の安全がおびやかされたことを目の当たりにすると,そもそも構造上の問題はなかったのかと考えざるを得ない。
護岸の設計については,漁港施設,港湾施設のいずれも国の定める基準に則ってなされるものであると聞いているが,今回の護岸の被害は,設計基準を満たしていないものが崩壊してしまったのか,それとも基準そのものが十分なものではなかったのか,今後の護岸整備に向けて,この度の崩壊の原因分析とそれを踏まえた今後の対応について伺う。
答:
この度の台風18号で観測されました潮位や瞬間最大風速は,いずれも過去に経験のない規模のものでございました。
この台風により,広島港を中心に一部箇所の護岸が崩壊致しましたが,これら護岸の設計につきましては,国が策定致しました「海岸保全施設築造基準」に基づき整備を行っております。護岸崩壊に至った原因につきましては,現時点では,異常潮位や暴風・高波これらが複合的に影響を及ぼしながら,設計時に想定した以上の力が働いたことによるものではないかと考えております。
今後,その被災の原因を究明するために早急に調査を行うとともに,必要に応じまして設計基準の見直しや,護岸の構造形式及び施工方法についても見直しながら対応して参りたいと考えております。

2 広島大学本部跡地の問題について
担当部局:政策企画局 答弁者:知事
問:
広島大学本部跡地について,国立大学財務・経営センターから県・市の取得の意向確認をされている件については,回答期限が10月15日に迫っており,今定例会において活発な議論が展開されるであろうと思う。この場所が,広島市内に残された貴重な大規模未利用地であることは,県民の誰もが認める所であろうと思うが,貴重な未利用地であるがゆえに,例えば,回答期限の再延長を求め,具体的な利活用方策を検討すべきという意見や,まず,県・市共同で,あるいは県単独ででも取得した上で,一定期間をかけて利活用方策の検討を行うべきという意見など様々な考え方があろうかと思う。
問題は,広島大学が移転した後,今日に至るまでの長い間,県・市双方からいろいろな利活用構想が示されたものの,結果として実現せず,地域住民の期待を裏切り続けたことにあるのではないか。
いたずらに検討に時間を費やし,回答期限の再延長を求めるという結果は,県民の理解を得られないのではないかと考える。
このため,残された時間に広島市を含む関係者と精力的な協議,検討を行ったうえで,回答期限までには,広島大学本部跡地の利活用に関する県の考え方を明らかにするべきであると考えるが,期限内回答に向けた知事の決意を伺う。
答:
広島大学本部跡地は,広島市中心部に残る貴重な大規模都市空間であり,その取扱いにつきましては,十分議論する必要があることから,回答期限を延長し,都市機能の強化等に向けた利活用のあり方など,様々な観点から,協議,検討を行って参りました。
現時点では,結論を得るまでに至っておりませんが,ご指摘のとおり,この問題については,この際,一定の整理を行うべきものと認識をいたしており,引き続き,広島市と精力的に協議を進め,来月の回答期限までには,県としての最終的な判断を行いたいと考えております。

3 本県の観光振興について
担当部局:商工労働部  答弁者:商工労働部長
問:
本県の観光振興の新たな取組みとして,全県的なフィルム・コミッションの活動を展開してはどうかと考える。
フィルム・コミッションは,映画,テレビドラマ,コマーシャルなどのあらゆるジャンルのロケーション撮影を誘致し,実際のロケをスムーズに進めるためのロケーション誘致・支援活動を行う窓口である。国内でも,その多くが自治体により組織されており,中国地方では山ロ県が県庁内に設置している。県内では,広島,呉地域,三原,尾道の4つのフィルム・コミッションが,全国フィルム・コミッション連絡協議会に加盟しているが,県全体を視野に入れた活動を行うには限界があると思う。
韓国ドラマの「冬のソナタ」が一大ブームとなり,いわゆる冬ソナツアーといったものに,多くの日本人が参加し,また,国内では映画「世界の中心で,愛をさけぶ」のヒットにより,香川県のロケ地に全国の若者が訪れている。映画やテレビは,文化であると同時に,効果的な観光宣伝の機能を持っている。
国内だけでなく,国際的に見ても,将来的には観光振興に大きな効果をあげることが期待できると考える。本県においても観光振興の観点から,今後,積極的に取組んではどうかと考えるが,知事の所見を伺う。
答:
いわゆるフィルム・コミッションの活動は,地域の情報発信の強化や,ロケ撮影隊の滞在等に伴う経済効果などもあり,地域活性化の有効な手段として注目されております。
観光振興面でも,ロケ地としての知名度の向上によって,観光客の増加が期待できることから,積極的な取り組みが必要であると考えております。
本県では,既に4地域でフィルム・コミッションが設置されており,この夏には呉フィルム・コミッションの支援により制作された映画「海猿」が全国上映されたところであります。
また,新作映画として,竹原市では「力道山」,西城町では「いとしのヒナゴン」など,フィルム・コミッションが設置されていない地域においても,ロケが行われ,地元市町村において,エキストラ募集などの受入支援が行われております。
県としては,これまで,市町村やフィルム・コミッションと連携して,映画やテレビ番組の制作期間中の地元調整などに取り組んできたところでございます。
こうした取組に加え,今後は,制作関係者に対し,本県での制作を積極的に働きかけるとともに,引き続き,ロケ地マップの作成など,ロケ地としての話題性を観光振興に活かして参りたいと考えております。

4 学習障害等への取祖みについて
担当部局:教育委員会  答弁者:教育長
問:
学習障害(LD)や注意欠陥/多動性障害等(ADHD)と言われる子ども達は,40人学級で2人から3人はいると言われている。こういった子ども達は,友達との輪の中に入れない,協調性がない,集中できずにすぐ歩き回る,といったことが問題視されてきた。しかし,実は,それは本人の努力不足であったり,お母さんのしつけが悪いといったことに関係なく,中枢神経系に何らかの要因による機能不全があるためであるということが近年分かってきた。放置しておくと二次的障害として不登校や引きこもりなどにもつながっていくが,適切な対応がなされれば,その才能が発揮されてくる。
国においては,現在,これらの発達障害の子どもたちへの対応を含めた小・中学校における特別支援教育体制の整備について検討が行われているなど,学習障害等への対応は,今後,急激に変わろうとしている。
しかし,現在の学校においては,これらの障害について,よく理解されておらず,十分な対応がなされていない状況があるようだ。
学習障害等への適切な対応を図るためには,基本的には,「教員が障害について理解し,指導方法等を工夫すること」,「学校や行政が支援体制を整備すること」が大切と考えるが,県の学習障害等への取組の現状と今後の対応方針について,教育長に伺う。
答:
学習障害等の児童生徒への取組は,重要な課題と捉えており,その適切な対応を図るためには,「教職員の理解と指導方法等の工夫」,「学校
や行政の支援体制の整備」が必要であると考えております。
そのため,パンフレット等の資料配付,校長会での情報提供,セミナー等の研修会での報告や協議をとおして教職員の理解と指導方法等の工夫・改善を図っております。また,学校や行政の支援体制の整備につきましても,@専門家による小・中学校への巡回相談の実施,A特別支援教育コーディネーター養成研修会の実施,B養護学校の専門性を生かした小・中学校への支援等を行っております。
さらに,モデル的な取組として,東広島市及び黒瀬町の2地域において,教育,福祉,医療等の関係機関が一体となった「個別の教育支援計画」の策定について研究を行っております。
しかし,このような取組は緒についたばかりであり,今後,研究成果の普及を図るとともに,校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターーの指名等,校内体制の整備についても指導して参りたいと考えております。
また,国においても小・中学校における特別支援教育体制の整備について,現在,中央教育審議会において検討されているところであり,その動向も踏まえながら,県教育委員会として,学習障害等の児童生徒への適切な対応を図って参ります。

5 小児慢性特定疾患への対応について
担当部局:福祉保健部  答弁者:福祉保健部長
問:
県は,これまで,広島市,福山市とともに,国と連携して,小児慢性特定疾患の医療費公費負担制度を実施してきており,昨年度は,9干人を超える患者の負担軽減を実施してきている。
先般の通常国会に,慢性疾患にかかっていることにより,長期にわたって療養が必要な児童等に対する医療給付等の事業を法定化する,児童福祉法の一部を改正する法案が提案されたが,継続審議となった。提案された法案によれば,対象となる疾患群を,現行の10から11に拡充するなどの措置を講じているが,対象者を重症者に重点化し,患者本人又はその扶養義務者の負担能力に応じて自己負担を導入することとしており,この法案が原案どおり成立し,施行されれば,本人負担を求めていない現行制度と比べて,後退した制度となると言わざるを得ない。
国,地方を通じて財政健全化を図る必要がある中で,持続可能な公費負担制度とするためにやむを得ず考案された制度内容なのかもしれない。しかし,対象年齢を独自に拡大するなど,積極的に取り組んできた本県においては,長期間の治療がもたらす高額な医療費負担は児童の健全な育成を阻害してしまうという基本認識を堅持し,引き続き,患者の医療費負担の軽減に向けた最大限の努力を行う必要があると考える。現段階における県の基本的認識と今後の取組みについて伺う。
答:
小児慢性特定疾患対策につきましては,慢性疾患にかかっている児童等の健全な育成を支援する観点から,重要な事業であり,これまで治療研究事業として,積極的に取り組んできたところであります。
今回,国においては,この事業を法律に基づく恒久的なものとして位置付けるとともに,対象疾患群を10から11に拡充し,さらに,通院患者や18歳以上20歳未満の患者を新たに対象とする方針と伺っております。
また,こうした改正と併せて,重症者に重点化を図るとともに,低所得者に配慮しつつ,無理のない範囲で自己負担の導入が図られる予定であると聞いております。
県といたしましても,制度の安定化を図るため一定の自己負担を導入する等の見直しは必要であると考えており,今後,国の法改正などの動向を踏まえながら,対応を検討して参りたいと考えております。

6 里親制度の推進について
担当部局:福祉保健部  答弁者:福祉保健部長
問:
親からの虐待など様々な事情により家庭を離れて生活しなければならない子ども達を,家庭的な環境と暖かい愛情の中で養育していく里親制度は,子どもの自尊心を育て,健やかな成長を支える大切な制度であると思う。ところが,現時点では,保護を必要とする児童の大部分が乳児院や児童養護施設で受け入れられており,里親に受け入れられている児童は全体の5%にとどまっている。
このような状況を受け,平成14年度に里親制度が大幅に改正され,中でも,新たに創設された専門里親制度は,虐待を受けた児童の家庭復帰を目標として,自立の支援を行うもので,今日の児童虐待の実態に照らして,極めて重要な役割を担う制度である。
ところが,昨年度末現在で,登録された専門里親の人数は,広島市分を含めても僅か3人であり,虐待を受けた児童が,一人一人に合った,温かい環境の中で成長していくことができる体制が十分整っているとはとても言えないのが現状である。
専門里親制度をはじめとする里親制度が本来の役割を果たすことができるよう,県としても積極的な取組みを実施すべきであると考えるが,知事の所見を伺う。
答:
里親制度は,さまざまな事情で,家庭環境に恵まれない児童を迎え入れ,暖かい家庭的な雰囲気の中で,その発達と自立を支援するものであり,大変重要な役割を担っているものと考えております。
しかし,その利用状況は全国的に低調であり,その背景として,里親制度が知られていないことや,児童の実の親が里親委託を望まないことなどの課題も指摘されております。
このため,県といたしましては,里親制度に対する理解を深めていただくよう,ポスター,パンフレットの配布や,10月の「里親月間」に併せて,テレビスポットを活用した積極的な広報活動を展開しております。また,今年度から,中央児童相談所に,制度の普及啓発や里親からの養育相談への対応などを行う「里親対応専門員」を配置し,里親の皆さんが安心して児童を養育できる環境整備に努めているところであります。
次に,親などから虐待を受けた児童を受け入れる専門里親につきましては,今年度,新たに5名を登録する予定であり,さらに,現在,7名の方に「専門里親研修」を受講していただくなど,継続的な養成や登録者の拡大に努めているところです。今後とも,里親制度を推進し,児童の健全育成に積極的に努めてまいります。

7 非行少年対策について
担当部局:警察本部  答弁者:警察本部長
問:
県警察本部は,流川,薬研堀地区における組織犯罪,風俗浄化に対応する現地対策推進本部を広島東警察署に設置し,総合的な対策に乗り出している。健全な環境の実現に向け,暴力団,外国人による犯罪や違法風俗店に対する徹底した取締りを心から期待する。
一部の暴力団では,非行少年を結集して二軍的な組織を形成していると言われている。これは,暴力団対策を考える上においても,また,少年問題を考える上においても見逃すことのできない問題である。
本県では,今年度から,知事部局,警察本部,教育委員会によるプロジェクトチームが,犯罪の入り口とも言うべき万引きの防止に重点的に取組むこととされている。関係部局が密接に連携をとり,防止教育,立ち直り支援を含め,少年による犯罪を減らすための取組みを強力に進めていただくことを期待している。
本県における,非行少年総数は,平成11年以降5年連続して減少しており,特に,暴走族少年対策は,全国で初めて暴走族対策課を設置するなど,重点的な対策を講じてきた結果,平成11年のピーク時に比べてグループ数が半減,構成員は68%減少し,検挙人員も減少するなどの効果をあげている。その実績を充分生かし,未来を担う青少年の命,健康,幸福を守るために是非とも尽力していただきたいと思うが,今後,非行少年対策にどのように取組もうとしているのか警察本部長に伺う。
答:
最近の非行少年の補導数は減少傾向にあるものの,刑法犯の検挙人員の約4割,ひったくり,オートバイ盗など街頭犯罪の検挙人員の約8割を少年が占めている状況にあります。
このため,警察といたしましては,少年犯罪に対する厳正な捜査を行っているほか,関係機関,ボランティア等と連携して,犯罪防止教室の開催や街頭補導活動,非行少年の立直り支援等に取組んでおります。
また,出会い系サイトや児童買春など,少年が被害者となる犯罪も多発しているため,少年の福祉を害する犯罪の取締り等に取組んでいるところであります。
今後は,こうした施策に加え,共犯性・再犯性の高い非行少年グループの検挙・解体対策,生活習慣等の異なる来日外国人少年に対する非行防止対策,個々の少年問題の解決に向けた関係機関等とのネットワークの構築等の取組みを強化することとしております。

8 人権侵害に対する基本的な認識について
担当部局:環境生活部  答弁者:知事
問:
近年,犯罪組織によって,海外から日本に送りこまれ,風俗産業などで強制的な労働を強いられている外国人女性や子どもが増加している。
特に,アジア,東欧,中南米などの地域から来日した女性達が莫大な借金を負わされ,風俗産業で働かされ,人身売買ブローカーや暴力団の犠牲になっているという実情がある。このような実態を踏まえ,流川・薬研堀地区組織・風俗浄化プランの実施に当たっては,背後関係の実態把握を含めて徹底した取締りが行われるよう強く要望する。
人身売買は,その行為そのものが重大な人権侵害であるから,その行為を直接処罰できる法律や,被害者を保護・救済する仕組みの整備は急務である。
現行法では,軽い罰金刑しか問うことのできない加害者に対する罰則強化を盛り込んだ刑法改正案が現在,国において,法制審議会に諮問され,来年の通常国会への提案に向けた準備が進められている。それに加えて,被害者の救済,保護,援助を含めた総合的な対策についても,一日も早い実効性のある法整備を望みたいと考えている。
見過ごしてはならないのは,人身売買を前提に成り立っている風俗産業を暗に容認し,産業として成り立たせている現在の我が国社会全体の意識の問題である。人身売買受け入れ大国という現状の根底には,女性や子供の人権に対する私達一人,一人の意識に問題が潜んでいると認識する必要があるのではないか。人の痛みを我が痛みとして感じられる人権教育・啓発の必要性を痛感するが,まずは,大人がその範を示すことが先決である。
貧しさ故に,自らの意思と関係なく,売買によって海外から送りこまれた外国人女性や子供たちが,人としての尊厳に基づいて,幸福に生きていくという生まれながらに持っている権利を侵害されている。その現実に目を向け,自らの人権意識を問い直しながら社会全体でその対策に取組んでいくべきであると考えるが,知事の基本的な認識を伺う。
答:
人権侵害に対する基本的な認識についてでございますが,人身売買は基本的人権を侵害するものであり,人間として許されない行為であると考えております。
現在,国におきましては,次期通常国会に「人身買受けの罪」の新設を盛り込んだ刑法の改正案の提出が検討されるなど,人身売買に関する法整備に向けた取組みが進められております。
こうした法整備の取組みとともに,人身売買をなくすためには,社会全体の中で,「人を大切にする」という人権尊重の意識を醸成していくことが重要であると認識しております。
県といたしましては,人権尊重の社会の実現を目指して,平成14年に「広島県人権教育・啓発指針」,及び「広島県人権啓発推進プラン」を策定し,人権啓発に積極的に取り組んでいるところでございます。
今後とも,様々な人権課題について,一人ひとりが正しい理解と認識を深めるよう,国,市町村などとも連携して,啓発を一層推進し,「互いに人として尊重し合い,誰もがいきいきと生活できる広島県」の実現に向けて力を尽くして参りたいと考えております。

9 平和貢献の推進について
担当部局:総務企画部  答弁者:知事
問:
明年の平成17年は,被爆60周年であると同時に国連創設60周年となる節目の年となる。人類史上最初の原子爆弾の被爆を経験した本県は,この節目の年に,世界平和の実現に向けて果たすべき役割の大きさを再確認し,平和な社会の実現を目指した取組みを展開し,発信していく使命がある。
県は,昨年,「創り出す平和」の理念に基づき,平和貢献プロジェクトの実施と平和推進ネットワークの構築を柱とする「ひろしま平和貢献構想」を策定された。
平和貢献プロジェクトを構成する6つのプロジェクトのうち,復興支援プロジェクトでは,昨年度,大学やNGOなどの関係機関と連携して,カンボジアをモデル地域として,復興支援二一ズの把握と地方自治体としての支援ルール策定に取り組んできている。今年度行われる詳細調査が着実な成果をあげ,来年度以降の本格支援につながっていくよう期待している。
被爆60周年を迎え,国内外の平和推進に関する有識者,研究者,NGO職員等と連携して展開してきたこれらの活動が,今後は,世界平和を希求する様々な人達の主体的な参画を得て,「ひろしま」から世界へ取組みの環が広がっていくものとすべきではないかと考える。また,被爆者の年齢を考えても,60年目の夏は大変大きな意義を持つと思う。このため,広島市も来年に向けて様々な取組みを行われると思う。意見が対立する場面も多く見受けられる県と市であるが,こと平和に関しては,全面的に協力して取り組んでいくべきであると考える。
広島市との連携を含めた,今後の平和貢献への取組みについて知事の所見を伺う。
答:
県と広島市をはじめ県内の自治体が,施策の独自性,自主性を活かしながら,相互に密接な連携をとって,復興支援や途上国の人材育成などの平和貢献への取組みを進めることは,極めて重要なことであると認識いたしております。
とりわけ,被爆の廃櫨から復興した広島の経験は,紛争終結地域の人々に勇気と希望を与えるものであります。
県といたしましては,戦後60周年に向けて,復興や都市づくりなどに関するノウハウを生かしながら,カンボジアに対する本格的な復興支援プロジェクトをはじめ,広島発の平和貢献プロジェクトのより一層の推進につながるような事業に取り組みたいと考えているところでございます。
広島市においても,来年度,被爆60周年記念事業として,様々な事業に取り組むこととされており,県といたしましても,協力・連携できるものについては,積極的に取り組んで参りたいと考えております。
今後とも,広島市をはじめとする県内自治体など幅広い関係機関や,世界平和を希求する様々な人々とのネットワークを構築しながら,世界平和の実現に積極的な役割を果たして参りたいと考えております。
9月議会一般質問の内容